その天地同格・天地同数が凶運ってホント?
●有名人も約1割は天地同格、天地同数を持っている
一部の流派では、天地同格、天地同数の凶作用を恐ろしげに語ります。「突発的なトラブルに遭いやすい。事故、病気、離婚、手術、火災、水難、破産、貸し倒れ、詐欺被害、親友の裏切り・・・に遭遇する。」 まるで、人生の不運を思いつく限り並べたみたいですね。
では、名前に天地同格、天地同数があると、本当に大きなトラブルに遭遇する確率が高くなるのでしょうか。「論より証拠」です。具体的に調べてみましょう。
まず手始めに、有名人の名前を調べてみました。すると、有名人も1割くらいは天地同格、天地同数を持っていたのです。「有名人は一般人に比べて事故や病気が多い(少ない)」と考える理由はないので、この比率は一般人にも適用できるはずです。
※該当する有名人⇒『有名人もこんなに天地同格・同数だらけ!(1~8)』
●天地同格、天地同数とは?
ここで姓名判断の天地同格、天地同数がどんなものか、ひと通り確認しておきましょう。
① 天地同格とは、姓の文字の画数合計(天格と仮称します)と名の文字の画数合計(地格と仮称します)が同じ場合をいいます。たとえば、二字姓二字名の田中大吉さんは天格=5+4=9、地格=3+6=9となり、天地同格になります。
流派によっては、次の天地同数のことを天地同格と呼ぶところもあります。
② 天地同数とは、姓の頭字の画数と名の頭字の画数が同じ場合をいいます。たとえば、二字姓二字名の太田中吉さんは天=4(太)、地=4(中)なので、天地同数になります。流派によっては、天地衝突などと呼ぶところもあります。
このほかにも○○同格とか△△同数といった、似たような特別扱いの画数の組み合わせをたくさん用意している流派がありますが、状況的には天地同格や天地同数と同じです。有名人でも1割程度はふつうに持っており、まったく珍しいものではありません。
煩雑になるので、ここでは天地同格と天地同数に限定して話を進めます。
●天地同格や天地同数の凶作用ってホント?
さて、天地同格、天地同数が10人に1~2人くらい見つかるものなら、これを恐れるのは馬鹿げています。安心材料としては、これだけで十分な気もしますが、まだまだあります。占い師が最も心配する「事故、病気、離婚」について、さらに詳しく見てみましょう。
人が一生の間に「事故、病気、離婚」をどのくらいの確率で経験するか、実際のデータで検証してみます。
まず事故については、交通事故に遭う確率が約27%です。次の病気では、がんに罹る確率が約58%です。その次の離婚する確率が約30%です。これらの数字は単独に経験する確率ですから、このどれかを経験する確率は次の計算式で79%となります。[注1-3]
1-(1-0.27)×(1-0.58)×(1-0.3)≒ 0.79
この数字は、一般論として、10人中8人が生涯に「事故、病気、離婚」の少なくともひとつを経験することを意味します。「姓名判断の結果とはまったく無関係に」ということです。
まだあります。計算を単純化するために「交通事故」と「がん」に限定しましたが、事故には転倒・転落や感電・爆発などもあり、病気には脳梗塞・心筋梗塞や肺炎・結核などもあります。
さらに、これ以外の不運(自然災害など)まで計算に入れたら、誰もが一生の間に最低でも1~2回(最低でも、です!)の不運を経験することになるでしょう。
●天地同格、天地同数は凶運を予言できない
そうなると、天地同格、天地同数の「突発的なトラブルに遭いやすい。事故、病気、離婚・・・に遭遇する」には、はたして何か意味があるでしょうか。
これらの不運は誰もが一定の確率で遭遇するものなのです。凶運の内容、程度、時期、場所などを限定しないのであれば、何も予言していないのと同じです。不幸にも「突発的なトラブル」を経験して、「当たった」と思っている人は、明らかに気のせいです。
これとよく似た話があります。アメリカ人の98%は「自分にはユーモアのセンスがある」と考えていることが実験でわかっています。
ところが、「あなたはユーモアのセンスがありますね?」 といわれると、大部分のアメリカ人は「当った」と思うそうです。[*] 種明かしをすれば、誰にでも当てはまることを言われたに過ぎないのですが。
つまり、天地同格、天地同数の「突発的なトラブルに遭いやすい・・・」とは、「あなたは外出するとき、スマートフォンやキャッシュカードを携帯する可能性が高い」と同じレベルの予言なのです。
ごく普通のことを、あたかも言い当てられたかのように感じるのは、ある種の錯覚です。