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「ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語」

小さい頃、家には小さい本棚があってそこには母が用意してくれた子供向けの本がたくさんあった。


指輪物語、ナルニア国物語(長すぎて何度も挫折して結局読み切ってない二大物語)ミヒャエルエンデやロアルドダールの様々な物語(いっとう好きだった)
ケストナーやコナンドイルのシャーロックシリーズ、わくわくしてかわいいエルマーの冒険、海底二万浬からはじまる世界名作シリーズ、ムーミンやロッタちゃん、ゴーリーなんかのかわいいけど仄暗いヨーロッパの物語。灰谷健二郎や星新一、おどろおどろしい日本昔ばなしまで、日本の名作もたくさんあった。ちなみに、横山光輝の三国志全巻、手塚治虫の火の鳥やブッダ、ブラックジャック、ガラスの仮面から風の谷のナウシカなんかもありました。


その中にあった若草物語は、世界名作シリーズ本の中の一冊で箱に入ったとてもかわいらしい装丁だった。


わたしは小さい頃から箱入りの本が大好きで、本の匂いを嗅ぎながら寝るのが大好きでした。紙の手触り、厚み。図書館の匂い。

ストーリーオブマイライフを再生してしばらくして、原作と全く同じセリフでの4姉妹の会話リレーのシーンを見た瞬間、初めて若草物語を読んだ時の記憶が蘇って

「わたしもジョーになるんだ…!」

とぐっと、胸の奥でささやかに誓ったことを思い出した。

そういえば、そのささやかな誓いは心の奥にずっと絡まっていて、ずっと父親の言いつけでのばしていた腰まであった髪も、ショートカットにしたんだった。

あの時の父の「似合ってるよ」と言いながらも歪んだような哀しげな笑顔は、今もわたしの胸をさまざまな思いに、またいろんな風に形を変えて、それは色々な意味を含んだ方向から締め付ける。

今現在の思考や価値観の原体験かもしれないです。


もうひとつ、リアルな若草物語の思い出も。

母方の叔父に書家がいました。家中作品だらけで、墨だらけで、給料袋(現金支給にこだわりを持つ男だった)をめんどくさいからと言ってポストに突っ込む、そういう男でした。

若くして亡くなった叔父は、麦わら帽子をかぶりマウンテンバイクを草履で漕ぎ、ポケットにちいさな硯と筆と水入れを指して、よく色々なところに連れて行ってくれました。
いつも家で本を読んでいたわたしを、川や山のような自然の中やひとがたくさんいるところ、様々に連れだしてくれた。(ちょっといやだった)
初めてスキーに連れて行ってくれた時は、ゆきこは意外と運動神経がいいなぁ!と、豪快に笑っていた。(意外だろうけどこれは本当です。。)
ちょっと抜けてるけどおおらかで酔っ払いの優しい優しい叔父だった。

叔父の娘で、私の従姉妹にあたる姉妹は3姉妹だった。みんな名前の最後に乃がついていて、叔父は酔っ払うと必ず「夕希乃に改名してうちの娘になりなさい、若草物語だよ!君がジョーだよ!」と頭をわしゃわしゃした。
ちょうど年齢で並ぶとわたしは次女のポジションだったからなんですが。

小さい頃はとても人見知りで(これも本当なんです。。)大好きなはずの叔父ともうまく喋れなかったわたしは、小さくうなづくだけだった。
(のちに両親に聞いたのだけど、わたしはその話を真に受けていて、養女に出されると思い込んで泣きながら相談してきたそう。我ながらかわいいです。)

原作でジョーは結婚したけど、それでもわたしの中のジョーへの憧れは消えなかったし、繰り返し読むわたしの大切な物語だった。


こんなエモい感想と記憶を蘇らせてしまった
ストーリーオブマイライフ、ずーっとずーっとその物語にひたっていたい大傑作でした。
泣きすぎて辛いです。でもちょう幸せ!

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