愛する、愛されるとかいうこと

愛というものに触れることが好きだ。
昔のなにげないものが保管されているとか、好きそうなものを買っておいちゃうとか。
そういうエピソードにめっぽう弱い。

先日、実家で見つけた鉢植えにかわいい植物があった。

手前の小さな葉っぱの植物にキュンときた

気になって母にたずねると「それ15年くらい前にくれたやつだよ」と答えられた。
思い返せば、かなり前に小さな鉢植えを贈った記憶がある。おそらくそれだ。
百均などで見つけてきたんだろうそれを、母はずうっと育てているらしい。

不覚にも、愛だな、と思ってしまった。
母はそもそも観葉植物を育てるのが好きだし得意なので、よくリビングが生い茂っていた。だから私があげたものとかって関係ないような気もしつつ、だけどたしかな愛を勝手に感じた。

「愛」の不定形なところが好きだ。答えなんかなくて、人によってまったく違って、正しいことなんて言えない愛というものに、ずっと魅力を感じている。

たぶん、私にとっての愛は「その人の大切にしているものを大切にすること」だろう。ものとか考え方とか、聞かせてもらったことはぜんぶおぼえていたいし受け入れていたい。

私のいちばん大切なものは、私の美学だ。
こう生きるのが美しいとか、これは私の道理に外れるとか。
それを軽く扱われるとさみしくなる。
「そうか、私たちは相容れないね」と和解もせずに距離をとる。
何も言わずに、何も求めずに、切れた人間関係ばかりだ。

求めないことはそのままの形のその人を尊重する行為だと思いつつも、どこかで衝突を過剰に恐れている自分がいる気がする。人の不快そうな顔を見るのがきわめて苦手。
倉橋ヨエコ氏の「夜な夜な夜な」という曲に、こういう歌詞がある。

傷つけるより傷つく方がいいって弱虫かな
喧嘩するより謝る方がいいってものぐさかな

倉橋ヨエコ「夜な夜な夜な」より

この詞は非常にすばらしくて、私はいつでも思い出している。
良いやつでいたいとか、悪いことは言いたくないとか、そういうのの他にも「この人間関係を終わらせてしまえば精神の消耗が最小限で済む」みたいな、できるだけ自分の中のゲージを使わずに生きていく方法に近い意味も感じている。
それって、人によっては逃げだと感じたりもするのだろう。

ケンカをしたり、なにか言ったりするのって相手に求める行為で、変えてほしいというお願いで、期待だと思う。
勝手に期待を寄せて、勝手に裏切られた気になるのが怖いのだ。どこまでも。

本当はどこかでこうだったらいいのに、と感じていることも多い。
黙って去るのもよくないと思うから1、2度は伝える。だけどやっぱり忘れられちゃったり、少しでもウッて顔をされるともうそれ以上なにも言いたくなくなってしまう。くるしくなる。

だからこのような性質の私が、お店の責任者をやるのも無理な話だったと思う。
言えないのだから。言えないわりに、お店がちゃんと回っていたのはみんながきわめて賢く聡明で感じとる能力に優れていたからだ。

愛ってむずかしい。正直なところ「愛される人間になるには」みたいな記事などは非常に多いけれど、ああいうのはすごく辟易する。うっせ〜と思う。そこまでして愛されたくね〜よ、とか、ひねくれている。
ただそういう記事を見にいく人の素直さ、まっすぐさはもう既に愛されて然るべしだと思う。たまたま、たまたまだ。美学の噛み合う人といずれ出会うかもしれないし、そこは運なので出会えないかもしれないけれど。出会えなかったからといって、その人の人間性が悪かったことには繋がらない。
だから多少は安心して、焦らずに生きてほしい、とじつはこっそりと最近、知りあいに思った。

最近はとくに愛について考えることが多い。
友人たちの恋愛模様を見ているからだろうか。
人によって愛の形は様々で、たまたま求めあう形が違うだけで、君たちに悪いところがあるとか、そういうことじゃないんだよって言いたい。腑に落ちないだろうから言わないけれど。
でもそう思い続けているから、いつか元気がなくなっちゃった時にも安心してほしいな。そんな気持ちで書いたりなどする。
愛ってむずかしい。

15年、育ち続けているあの草をそのうち株わけしてもらって、自分でも育ててみようと思っている。ポトスも母からもらって育ててみているが、まだプランターを買っていないのでそこからだ。
愛って本当に様々だな。

イベントのお知らせ

6月4日「拾う三拍子」というイベントにて、ちいさくライブをさせていただきます。

これまで作った本・CDとかも持っていく予定なので、ぜひお越しください。
きっとたのしい日になります。

寄稿のお知らせ

ざくざくアクターズという私の大好きなフリーゲームのファンアート企画に絵を1枚、お送りしました。

これまで描いてきたゼニヤッタちゃんより、さらにかわいく描けた気がします。

生活の余談

暑くなったり寒くなったりいそがしい日々が続きますね。先ほど起きたのですが暑すぎておふとんをハイスピードで出ざるを得ませんでした。
仕事をしばらく休むことについて、やっぱりいろいろご心配の声をいただいてしまいました。すみません……。
ただ、メンタルとかそういうのはまったく関係なく、店長やめるのはもともと決めていました。

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