月の明るい晩は川に気をつけな、と婆ちゃんはよく口にした。向こう岸の木が縮むほどの大きぃ川はあかん、家ん籠もって布団さかぶれ。そんなことを、ふと思い出した。もう遅い。腐った板壁の隙間から青光りする鱗の大群が過ぎていく。ひどく生臭い。ひょうひょうひょう、とソレが鳴いた。ああもう戸が…

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