未舗装の細道を抜けると、深山の青々とした匂いに、古くさい香の匂いが混じった。ちょろちょろと生ぬるい小川の上に場違いな太鼓橋がかかっていて、その向こうに獰猛な緑葉に半ば埋もれるように朱色の屋根瓦が覗いている。これは渡ればもう帰れない類の橋だ。足裏に、息を殺した橋の脈拍が伝わってくる

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