昔、私がいた処では狐様が一番だった。人間なんて下の下である。それでも御屋敷で下女として飼われていた私は食う寝るところに困らず恵まれていたと思う。大変なのは狐様の娘御の嫁入りである。太陽と雨の乱舞に溺れ死ぬ者も少なくない。うまく世界の狭間を抜け、こっちに逃げてこられて幸いだった

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