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エッセイ 猫とLINE

私の住む街は野良猫が多い。
こんな小雨の夜にも近くの自転車置き場へ走って行く明るい茶色の縞々猫を見かけた。
お互いに「たまに見かける顔だな」って心の中で通じ合ったような気がした。

少し前まで通勤時によく見かけていた猫がいる。
私はその道を猫ロードと呼んでいて、
日によっては3匹の猫に遭遇することもあった。

ガレージに停めているボンネットの上、
車体の下、
向かいの公園の大きな木の幹、
塀の上、
咲いていないツツジの木の中、
土が凹んでるところにフィットしたり、
彼らが何処に潜んでいるかは天候や気温で変わってくる。

その猫はとても人懐こかった。
撫でてもいないのにヘソ天して真っ白なお腹を見せてきた。
私が早歩きで最寄り駅に向かう途中や
仕事仲間と呑んで帰るあたたかく寒い夜も私の後ろを何mもついて来た。

ある日からその猫を見かけなくなった。
明日はいてるはず、どこに隠れているんだろう、雨だからいないのか、週明けにはいてるかも、
月日が経って本当にもう会えないんだなって。

猫とSNSで繋がれたらよかったのにって。

優しい丸いおててで世界を踏みしめて、
美味しいご飯食べて、いっぱいお昼寝して、
好きな子つくって、どうか何処かで幸せにね。

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