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エッセイ セーブ

「そうやったっけ?」
忘却の彼方を探る作業をする。
忘却の彼方ってなんとなくホームランに似てる。
空の青に遠く遠く白いボールが飛んで消えていくイメージ。

大事なことなのにすっ飛んでいったり、妙にこびりついたり。
自分の都合の良いように残ったり、
思い出すのも恥ずかしくて穴に入りたくなったり。

小学生の頃、ミニバスを顧問の先生に辞めたいと言いに行った際、手洗い場の鏡に映った自分の服装を何故か今でも覚えてて、
きっとあれが一番最初の逃げだった。

ちゃんと声に出せてたかもわからない。
すごく緊張して、かっこ悪いな、嫌われるかな、怒られるかな、でもしんどい、辞めたいって。
ホッとはしたけど、重たかった。

今ではレイアップの練習の時、ファンタグレープが飲みたすぎて辞めたくなったとか笑い話にできるけど、たまに笑えない時もある。

私の歩いてきた道は舗装されてなくて
画用紙でいうところの鉛筆で勢いよく書いたと思いきや消した跡と
たまにはきちんとなぞった跡と
消しゴムのカスだらけで
規則性もなく主張したいこともなく
美しさとはかけ離れている。

できることならまっさらな新しいページをめくりたい、リセットしたいと何度も思った。

人は人に迷惑をかけずには生きられないそうだけど、迷惑ばかりかけてきた。

生き恥だ。ちょっと言い過ぎか?

人は面白いとか言うけど当の本人は臆病で気にしいだ。

輪廻転生があるなら、本当に一発目の人生じゃないとおかしいぐらい失敗している。
いつも無駄にがむしゃらだ。

誰か私を忘却の彼方へと打ち放ってくれ!!
あるバイ菌は、はーひふへほー
ある悪の組織は、やなかんじー
私は正座であざっす!!!と回転しながら鈍く光る。

それは冗談として
人の記憶はほどほどに薄れていくから命拾いしたなって時もある。
ビバ時薬。

今の自分を構築するのは過去で、
紛れもないけれど、もはや曖昧なもので
神経質だけど大雑把な私はどうせまた変なポイントで今日も明日もセーブするのでしょう。

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