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エトヴァス・ノイエス?

新しい年度が始まり、今日から新たな気持ちで頑張ろうと思います。
今年度のテーマは、冒頭に記した「エトヴァス・ノイエス?」です。
先日読んだ「新しきこと 面白きこと サントリー・佐治敬三伝」(廣澤昌、2006)で発見しました。

小竹は、東北大学卒業後、ドイツ、フライブルク大学に留学し、ノーベル化学賞受賞のウィーランド博士のもとで研究に励んだ。博士は一日も欠かさず毎日朝夕二度、小竹の机の脇に立ち、「ヘル・ドクター、エトヴァス・ノイエス?」(何か新しいことはないか)と尋ねたという。
小竹は「いくら熱心でも毎日毎日新しいことがあってたまるかと思ったけれども、待てよ、真理の探究に休みはない、毎日毎日が真剣勝負なら、"ノイエス”があるかも知れない。少なくともそれほどの心がけて研究すべきだなと思い返したんですよ」と敬三たちに説明した。
小竹の話を聞いた敬三は、以後、この「エトヴァス・ノイエス」のない日は進歩なき懈怠の一日と思い定め、つねに革新をめざそうと決意した。敬三の一生のテーマとなった言葉、それが「エトヴァス・ノイエス」であった。
※小竹とは、有機化学者の小竹無二雄氏のこと。佐治敬三の指導教官。

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小竹さんの偉いところは、ウィーランド博士に一旦腹を立てた後、
「待てよ」と考え直す部分です。
確かに、頑張っているところへ向けて、毎日朝夕同じことを言われたら、
腹を立ててしまうのも一面において無理のないことです。
しかしながら、どんな状況であれ、全く同じことは無い。
必ず些細な変化はそこにある。
そう思って努力を積み重ねると、新たな気づきが生まれることがある。
それに気づかせてくれたウィーランド博士の言葉は偉大だなと思います。
そして、その言葉を教え子に伝えた小竹さん、
それを自らの人生のテーマとした佐治さんがいたからこそ、
私もこうしてこの言葉を味わうことができています。有難いことです。

この1年間は、常に「エトヴァス・ノイエス?」と問いながら、
日々を過ごしていきたいなと決意をしています。
皆さんは、新年度、どのような気持ちで臨みますか?


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