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最後の授業

息子が何となく手に取って進めてくれた書籍が、
とんでもなく心に突き刺さることがあります。
ランディ・パウシュの「最後の授業」はまさにそんな出会いでした。
涙無しでは読み切ることができない、
そして動画も涙無しでは見ることはできない。
同じ教育者として、心の底から尊敬できる教育者の姿を見つけることができたこと、
そして、そんな出会いを何となしに与えてくれた息子に感謝です。
書籍の中で印象に残った箇所を、以下に抜粋しておきます。

ようやく帰らせてもらえることになったとき、コーチが来て僕をなぐさめた。「グレアム監督はきみにとくに厳しいだろう?」
僕は、「うん」とつぶやくだけで精一杯だった。
「でも、それはいいことだ。きみが失敗しても、だれも何も言わなくなったら、きみのことはあきらめたという意味なんだよ」
この教訓を僕はずっと心に刻みつけてきた。何かひどいことをしたのに、だれもあえて何も言おうとしないなら、事態は深刻だ。自分に対する批判は聞きたくないかもしれないが、批判する人はたいていの場合、あなたを愛していて気にかけているからこそ、よくなってほしいと語りかけるのだ。

56ページ

学生は自分の本当の能力を理解しているだろうか。自分の欠点に気づいているだろうか。他人が自分をどんなふうに見ているか、現実的に考えているだろうか。
つまるところ、教育者のいちばんの役割は、学生が内省する手助けをすることだ。人間が向上する唯一の方法は――グレアム監督が教えてくれたように――自分を評価する能力を伸ばせるかどうかだ。自分を正確に評価できなければ、よくなっているのか、悪くなっているのか、知りようもない。

130ページ

感謝の気持ちを示すことは、人間がだれかのためにできるいちばん簡潔で、いちばん力強いことのひとつだ。効率性を愛してやまない僕も、礼状は、ペンと紙を使った昔ながらの書き方がいちばんだと思っている。
就職の面接官や入試担当者のもとにはたくさんの志望者が集まる。成績優秀で数多くの実績を誇る履歴書も山ほど読む。ただし、手書きの礼状はそれほど来ない。
あなたの成績がBブラスだったら、手書きの礼状を書けば、未来の上司や入試担当者には成績が少なくとも一割増しに見えるだろう。彼らにとって、あなたの成績はAと同じ。しかも手書きの手紙は最近ではかなりめずらしいから、彼らはあなたのことを覚えているだろう。
このアドバイスは計算高くふるまえという意味ではないのだが、文字どおりに受けとめる学生もいた。僕が学生に気づいてほしいのは、人は敬意と思いやりに満ちたことをすることができて、それが相手に感謝され、いい結果を生むときもあるということだ。

176ページ

僕が思う親の仕事とは、子供が人生を楽しめるように励まし、子供が自分の夢を追いかけるように駆り立てることだ。親にできる最善のことは、子供が自分なりに夢を実現する方法を見つけるために、助けてやることだ。
だから、僕が子供たちに託す夢は簡潔だ。自分の夢を実現する道を見つけてほしい。僕はいなくなるから、きちんと伝えておきたい。僕がきみたちにどんなふうになってほしかったかと、考える必要はないんだよ。きみたちがなりたい人間に、僕はなってほしいのだから。

235ページ

教育者として、親として、一人の人間として、
本当に大切にすべきことを彼は教えてくれました。
時代が変われど、国が違えど、
人間の本質の部分は、つながっている。
そう思える出会いとなりました。

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