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ケーススタディ面白い。

もっと頭が良くなりたい。
頭の回転を早くしたい。
ミネルバ大学に行く学生のように。
そんな動機で手に取った本。
ケーススタディの面白さを味わえる一冊。

世界銀行の統計によれば、1990年の米国の1000人あたりの死亡者数は8・6人である。一方、DMDC(Defense Manpower Data Center)によれば、湾岸戦争が始まった1990年に現役の米国軍人数は204万6806人で同年の戦死者は1507人である。1000人あたりの死者数は0.7人である。同様にアフガニスタンでの戦闘が始まった2010年では現役の米国軍人数は143万985人で同年の戦死者は1485人1000人あたりの死亡者数は1.0人である。こうした事実から、米国内で生活するよりも米軍に所属している方が死亡する確率は低いと言える。

右の文章は、1000人あたりの死亡者数という死亡率の比較で、揃っているように見えますが、もともと比較されている人の特徴を考えてみましょう。
軍人になる人は18歳以上の健康な人で、定常的に訓練などをしていて健康状態も良好な人です。一方、米国全体の数字には幼児や老人も、不健康な中年や薬物中毒者や病気の人達も含まれています。
比較対象を揃える(サンプルが同じ条件で抽出されたものか確認する)際は、単純に数字を合わせるだけでなく、サンプルの特徴までさかのぼって考える必要があります。

P.80

数字のマジックに騙されないためにも、
比較対象が揃っているか、しっかりと考えてみよう。

次のようなケースは因果関係があると言えるでしょうか。
「交番の数が多いところは、犯罪件数が少ない」
これは、相関関係にあるかもしれませんが因果関係ではありません。
交番は犯罪抑止に一定の役割を果たすので、実際に犯罪件数は減るかもしれません。でも、そもそもなぜ、交番の数が多いのかというと、もともと犯罪件数が多い地域だから、という逆の因果関係があるかもしれないためです。
押さえておくべき点は、相関関係は、ある事象がもう一つの事象を引き起こすこと(因果関係)を示すものではありません。二つの事象が第三の事象によって同時に起きることや偶然に同時に起きることもありえます。

P.94

相関関係と因果関係は異なる。
あくまでも、2つの事象が同時に起きる度合いを示しただけ。

次の主張に対して反論を、論理的な面、感情的な面、個人的な面でそれぞれ考えてみてください。
「当社の自動二輪車部門はかつての輝きを失っている。熱烈な愛好者はいるがもう10年以上成長していないし、年々利益の幅は縮小している。まだブランドが認知されているうちに売却先を探そう」

さて、今から書く反論は正解ではなく、あくまで例です。

論理的な反論
「自動二輪車部門は確かに成長していないし、利益幅は縮小している。一方で、利益率は依然として現在の本業である自動車部門よりも大幅に高い。また技術的に自動二輪部門を経験してから自動車を経験することで、独創的な発想を持つことができている。」

感情的な反論
「自動二輪車は当社の創業者がゼロから立ち上げたもので、会社のブランドストーリーを支えているものだ。これを止めるとなれば、当社はコアなファンを失うだろう。」

個人的な反論
「過去の国際レースで華々しい活躍をした当社所属のレーサー達は何と言うだろうか。当社は業績だけでなく、二輪車の文化を創っていくとコミットしてきたはずではないか」論理的な反論は相手の主張に対して、直接的に議論できる対案を提供しています。一方、感情的な反論と個人的な反論は、別の面(感情に訴える形と個人的な経験・感想から反対する理由を述べています。

あなたなら、誰と、どんな場面でこれらの反論を使い分けますか。

ホンダを想起させるようなケースです。
それは置いといて、主張を、論理的・感情的・組織的と分けて考えている点が面白い。
他にも、「組織的」なんていうのも入ってくる?

ここには記載できなかったケースも多くあります。
いわゆる思考実験ともつながる、頭のトレーニング。面白い。

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