汎用BIツールが向いている人事部と特化型BIツールが向いている人事部を人的資本経営の観点から比較検討してみた
1. はじめに
人的資本開示に関して、TableauやPowerBIのような汎用BIツールを使う人事部と、特化型BIツールを使う人事部に二極化していると感じます。
私は完全に特化型BIツール派です。
ただでさえ忙しい人事部で、データの収集・統合・可視化・分析を合間にやらされるなんて考えられないです。
でしたらしっかり人事部で予算をとって、人事部の業務負荷を低減させる特化型BIツールを導入してくれるような企業でなければ、転職します。
ということで、今回は二極化している人事部を比較検討していきたいと思います。
2. 汎用BIツールが向いている人事部
データ収集・統合・可視化・分析スキルがある人事部には、汎用BIツール(例えば、TableauやPower BIなど)が適していると思います。
いえ、正確にいうと、汎用BIツールでもなんとかなると思います。
これらのツールは全社に一括導入して、ボリュームライセンスで安く購入し、各部門にいるデータサイエンティストが頑張るというスキームです。
そのため、人事部にもデータサイエンティストやデータエンジニアがいればなんとかなると思いますし、そのような人的資本開示の作業時間をとれる人材がいれば対応可能かと思います。
そのため、汎用BIツールでなんとかなるのは、人材の質・量が潤沢な人事部に限られるかと思います。
もしくは、詳細かつスピーディーな経営報告が求められていない人事部だと思います。
経営から人事部に対する期待値は企業によってかなり差がありますので、期待値が高すぎると汎用BIツールで対応するのはなかなか厳しいのではないかと思います。
3. 特化型BIツールが向いている人事部
一方、データ収集・分析スキルがあまりない人事部には、特化型BIツールが適しています。
というより、特化型BIツールでないとまともな経営報告や業務改善ができないと思います。
これらのツールは人事業務に特化しており、事前に設定されたテンプレートやダッシュボードを提供するため、簡単に導入・運用が可能です。
人事に特化したBIツールであれば、データの収集、統合、分析をスムーズに進めることができ、人的資本経営を推進するのに役立ちます。
また、特化型ツールは、ベンダーが定期的に市場のトレンドに基づいてアップデートを行うことが前提となっています。
これにより、人事部はトレンドの変化に対して迅速に対応でき、システムの陳腐化を避けられます。
特に、人的資本の領域では、1年後、2年後には大きく状況が変わることが多いため、この柔軟性が重要です。
例えば、社員のキャリアパスやスキルマッチングに関するデータは、時代とともに大きく変動するため、常に最新のデータやトレンドに基づいて分析することが不可欠です。
したがって、特化型BIツールは、スキル不足の人事部や変化に即応するのが難しい環境において、強力な味方となります。
正直、私も最初はTableau派でした。
自分でなんとかできると思っていました。
しかし、途中で気づきました。
自分ごときのスキル・知識では無理というよりも、人事部が忙しすぎて無理です。
業務効率化すればいいじゃん、と他部門の同僚は言ってくるのですが、人事部の業務がいかにレガシーで大変か分かっていないからそんなことが言えるんです。
海外に比べて人的資本経営が遅れているにも関わらず、特化型BIツールの導入にも予算をケチるとか、ヒト・モノ・カネ・データの内、ヒトを見捨てている会社としか思えませんね。
4. データドリブン経営への道のり
汎用BIツールを選ぶ人事部では、独自の分析を駆使して人的資本を最大限に活用し、業務改善を行うことが求められます。
しかし、それには定期的に改善を加えるスキルや体制が必要であり、データに対する専門知識を持つパワフルな人材が不可欠です。
忙しい人事部が、限られた時間の中でデータの収集、分析、改善を行うことは現実的には難しい場合が多いでしょう。
逆に、特化型BIツールは、ベンダー側がすべての更新を担当してくれるため、スキル不足でも最新のデータに基づいて適切な分析を行うことができます。
この点で、人的資本に関する変化を捉え、将来を見据えた意思決定ができるようになります。
5. まとめ
人的資本経営を効果的に推進するためには、企業の現状に合わせたツール選びが重要です。
スキルのある人事部には汎用BIツールが適していますが、そうでない場合は、特化型BIツールが最適な選択となります。
いずれにしても、人的資本をデータドリブンで管理し、戦略的な経営判断を行うことが、未来の企業成長に欠かせない要素であることは間違いありません。
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