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【週刊消費者情報】         認知症行方不明者と見守りネットワーク

2025年問題 高齢者の5人に1人が認知症に・・・

すでに認知症は特別な疾患ではなくなり、誰にでも起こり得る病気なのでしょう――。
2014年9月(No.454)号の『消費者情報』特集は「もしや認知症?! 超高齢社会を生きる」でした。巻頭インタビューは認知症専門医の(松本診療所〈ものわすれクリニック〉院長)の松本一生さん。松本院長は”予防のための要素”として「日頃からの生活習慣と病気の管理」をすることが大事だとおっしゃっていました。ポイントは①肥満と糖尿病 ②高血圧(動揺性血圧) ③高脂血症(脂質異常症) ④心疾患・・・など健康管理をするうえで「かかりつけ医との関係が大切」であり、「もしや?!」と思ったときの相談先として、その存在はとても大きいと語っています。

この特集号では、公益社団法人  認知症の人と家族の会代表理事の高見 国生さん(当時)にもご寄稿いただきました。タイトルは「一人で悩まず、仲間を求めよう!『認知症の人と家族の会』の活動」。
小見出しの「家族の四つの苦労と家族会の五つの魅力」では、家族の苦しみについて、①心身共の疲労 ②家庭生活の混乱 ③先行きの不安 ④孤立無援の思い――そして、家族会の魅力について、①仲間がいる、安心感につながる ②介護している人の話は心に響く。体験者の話は良く理解できる ③施設などの家族会と違って何を話してもよい安心感がある ④情報が得られる。施設の良し悪し、ケアマネの良し悪しなど ⑤介護度の異なる人の話で将来の予測ができ、心の準備ができる――と書かれています。

また、同会の励まし合い助け合いの3本柱は「つどい」の開催、「電話相談」の実施、「会報」の発行だそうです。「つどい」は家族の交流会として全国の支部で毎月開催。「電話相談」は本部のフリーダイヤルで約35人の相談員が交代で対応し、年間2万1000件超の相談に応じていると書かれています。「会報」は会員同士の情報共有のツールであると同時に、社会への広報誌としての役割を担っている、ということでした。


認知症の行方不明者 1万8000人

警察庁が昨年6月に発表した認知症の行方不明者は、統計を取り始めた2012年以降、10年連続で増加しています。都道府県の上位は、上から兵庫県、大阪府、埼玉県、神奈川県、愛知県・・・いずれも都市部に集中しています。

2014年6月消費者安全法が改正されて地方自治体には、消費生活において特に配慮を要する高齢者や障がい者等の見守りを目的に「消費者安全確保地域協議会」(見守りネットワーク)を設置できることが規定されました。
現在、全国の設置自治体は466カ所(2023年8月現在)あり、メンバーは消費生活センター(消費者行政)を軸に社協などの福祉関係者や弁護士会、地域で活動する団体や事業者などで構成されています。
この見守りネットワークの制度ができて、いち早く対応されたところが兵庫県でした。県内主要な市町村には見守りネットワークが設置されているようです。
しかしながら、認知症の行方不明者の発見という点において、見守りネットワークは生かされていないのでしょうか。上記警察庁発表データだけでは即断はできませんが、兵庫県に限らず、見守りネットワークの今後の課題として協議されてもよいのではないか、と思っています。

【速報】高齢者狙った点検商法が横行

高齢者を狙った点検商法が横行しています。
昨年来、特に高額な屋根工事を契約させる事案が全国的に広がりをみせていました。
契約当事者の6割が70歳代以上の高齢者で、契約金額は100万円以上500万円未満」が4割を占めています。最近ではまた給湯器の点検を持ち掛け、高額な交換費用を請求する消費者トラブルが増加しており、国民生活センターが注意喚起しています。これもまた70歳代以上が全体の7割超を占めています。

屋根も床下も、給湯器もどれもこれも初手は「訪問販売」でしょう。訪販がすべて悪いとはいいませんが、もういいかげん不招請勧誘規制を導入しないとだめな時期にきているのではないでしょうか。

   『消費者情報』Web版編集室 原田修身
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