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【週刊消費者情報】          旧統一教会をめぐる相談状況

やはり金銭的トラブルか

 令和4年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れた後、旧統一教会の問題が噴出したことは、みなさんご存じのとおりです。その後の動きについて、「『旧統一教会』問題関係省庁連絡会議」(令和4年11月10日)の資料から見てみましょう。
 国が設置した合同電話相談窓口に寄せられた相談件数(9月5日~10月31日)は累計で3650件。うち旧統一教会によるとされた被害に関する相談は2367件でした。
 相談内容で最も多かったのが「金銭的トラブル」で1615件。つぎに「親族間の問題」が311件、「心の悩み」195件・・・と続きます。相談者の96.6%が成年で、男性42.0%、女性57.6%でした。同相談窓口からの紹介先は、法テラスや消費者ホットライン、警察などありますが、やはり金銭トラブルが多い分だけ、法律相談が主となる法テラスが1246件と一番多い結果となりました。

「1億円の献金」という、とんでもない相談例が・・・

 さて、金銭的トラブルの相談に目を移しましょう。
・「直近の金銭支出時期」=1年以内17%、2~5年以内8%、6~10年以内10%、11~20年以内16%、20年越え37%、不明12%
・「相談主体」=信者7%、元信者24%、親族50%、知人等16%、不明3%
・「金銭支出の目的」※=物品54%、献金47%、役務12%、不明15%
  ※同一の相談での対象が複数の場合は重複して計上
・「金銭支出の経緯」=霊感商法的言動29%、強要的言動3%、不明68%
・「相談者又は金銭支出者の状況」=生活保護0.3%、自己破産1.3%、年金費消1.2%、預金消失14.2%、不明83.0%

 上記の3つ目の「~経緯」と4つ目の「~状況」の両項目において、「不明」がとても多いのが気になるところです。

 つぎに相談例を紹介します。
・「信者であった10年間、祝福結婚、先祖解怨などの名目で、数百万円から10万程度の献金を多数回繰り返してきたが、取り戻せるか。」

・「信者である家族が、これまで1億円を超える献金をしたため、自己破産したほか、私はその家族のために借入れも行っている。返金を求めたい。」

・「信者である家族は、ここ数年1000万円弱の献金をするため、生命保険を担保に借金し、公共料金も支払えていない。どうしたら良いか。」

・「私は信者でないが、数年前、除霊のためと言われて壺を買い、健康食品等も購入した。返金を求めたい・」

 このような重篤な被害状況が浮き彫りになる一方、昨年末、臨時国会で整備・立法化されたのが消費者契約法改正と不当寄附勧誘防止法でした。
                         編集室 原田修身


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