べつに私はアンチじゃないはず、なんですが…

 最近ローズ・ティコさんを演じた俳優さんへのバッシングのことを知りました(要するにいまさら私は、『スター・ウォーズ』シリーズのシークエル・トリロジーを観ているということです)。

 私だって端から見ればどうせキモヲタだったのでしょうが(まあ現在進行形でそうなのかもしれませんが……。でももう、アラカンですよ?)、嵩にかかったときのヲタクのいやらしさを散々経験してきていますので、ああ、あの感じでやられたんだろうな、と、大して確認もせず、勝手に想像して厭な気分になってしまっています。

 私自身はポリティカル・コレクトネスについて実は懐疑的だったのですが……。

 いやしかし、ヲタクが突然真っ当なことをいいだすときって大抵誰かを藁人形にして騒ぎだすことが多いので、ローズ・ティコさんの件ではいろいろ考えさせられたとしても、たとえば、「実はこの原稿を書く前、筆者はちょうどネットにアップされた〈バラエティ〉誌のレビュー(これ自体は絶賛してました)に、アンチ『ブラックパンサー』の人たちがああだこうだと文句のレスをつけているのを読んで、暗澹たる気持ちになってしまいました。/何しろそこに書かれていたのは、この作品の『黒人をメインに据えた作り』に対する、人種差別や偏見に満ちた批判の言葉だらけだったからです。しかもその内容たるや、『黒人におべっかをつかうリベラルやポリコレ野郎たちにはうんざり』などという噴飯物の差別主義者たちの常套句に充ち満ちていたのです。もちろん、書いているのはほとんど白人男性ばかり。しかも、みんなまだ映画本篇を見てもいないのです」(堺三保「堺三保のアメリカン・ゴシップ[第83回]」『S-Fマガジン』早川書房、2018年4月号、263ページ)といったような文章に関しては、やはり共感することができないままでいるんですよね……。

 推測に推測を重ねたうえ、このひとだってどうせそうなんでしょ、という、まさに「それってあなたの感想ですよね」という感想でしかない感想なのですが、PC関連でなんか怒ってるひとたちって自分たちが関心があるそのイシュー以外では、平気でひとのこと差別するよね、というようにしか思えないんです。

 それはかつて音楽のジャンルのロックにうるさいひとたちから感じたことですし、ひょんなことからさまざまな社会運動に巻き込まれることになってしまってそうしたひとたちからも感じたことですし、私の若い頃は時代が時代でしたから、フランス現代思想系のひとたちから特に強く感じたことです。

 総じて、リベラルなひとたちって実は絶対リベラルじゃないよねってことです。

 というわけで最初に引っかかったローズ・ティコ役俳優さんをめぐる問題に関しても、その問題自体より、じゃあ彼女へのバッシングに憤ってるそのひとたちって実際どうなの? っていうことにしか関心がいかなくなってしまっている感じなんですよね……。申しわけないんですが……。

 これもそもそも論点ずらしか何かなんでしょうかね……。どうせそうなんでしょうね……。

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