「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり。投資の心理学を知るための相場格言
はじめに
投資には様々な格言がありますが、その中でも「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりという言葉はよく聞かれるものです。この格言は、相場の動きに対する投資家の心理状態を表しています。しかし、この格言の意味や使い方を正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。この記事では、「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりという格言の由来や意味、投資の心理学との関係、実践するためのコツなどを解説していきます。
「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりとは
「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりという格言は、約250年前の江戸時代に書かれた「八木虎之巻(はちぼくとらのまき)」「宗久翁秘録(そうきゅうおうひろく)」という米相場の書物に記されていたものです12。この格言は、相場の上昇や下降に対する投資家の感情や予測が、実際の相場の動きと逆になることを表しています。具体的には、以下のような意味になります。
「もう」はまだなり:相場が上がり続けているときに、「もうこれ以上は上がらないだろう」と思って売りに出ると、まだ上がり続けることがある。
「まだ」はもうなり:相場が下がり続けているときに、「まだ下がるだろう」と思って買いに出ると、もう下がり切って反発することがある。
この格言は、相場の動きに対する投資家の心理状態を表しています。相場が上がり続けているときには、投資家は利益を確定させたいという欲望や、相場が下がるのではないかという不安が強くなります。そのため、相場が天井に達する前に売りに出してしまうことが多くなります。しかし、相場はまだ上昇の余地がある場合もあります。その場合、売りに出した投資家は損失を出すことになります。
逆に、相場が下がり続けているときには、投資家は安く買えるチャンスだという期待や、相場が上がるのではないかという希望が強くなります。そのため、相場が底に達する前に買いに出してしまうことが多くなります。しかし、相場はまだ下降の余地がある場合もあります。その場合、買いに出した投資家は損失を出すことになります。
投資の心理学と相場格言の関係
「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりという格言は、投資の心理学と密接に関係しています。投資の心理学とは、投資家の感情や思考、行動が相場の動きにどのように影響するかを研究する学問です。投資の心理学では、投資家は理性的に行動するのではなく、感情やバイアスに左右されることが多いということが分かっています。例えば、以下のような心理的な現象が投資において起こります。
損切り回避:投資家は損失を認めたくないという感情から、損失が拡大する前に損切りをしないで、さらに損失を出すことがある。
逆張り傾向:投資家は自分の判断が正しいという自信から、相場の流れに逆らって売買をすることがある。
群集心理:投資家は自分の意見に自信がないという不安から、他の投資家の行動に影響されて売買をすることがある。
過剰反応:投資家は相場に関する情報に敏感に反応し、過度に楽観的または悲観的になって売買をすることがある。
これらの心理的な現象は、相場の動きに対する投資家の感情や予測が、実際の相場の動きと逆になることを引き起こします。つまり、「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりという格言は、投資の心理学の教えを表しているといえます。
「もう」はまだなり、「まだ」はもうなりを実践するためのコツ
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