薪のお風呂で鈴を作った話
今日はいろいろあったので……
でも、この話にしておきます。
この冬は何度か落葉焚きをした。
最初は、寒いとか面倒くさいとか言っていた子どもたちも、けっこう喜んで手伝ってくれた。
火を焚くのは楽しい。
火が燃えるメリメリという音を聞きながら思い出したのは、子供の頃の薪のお風呂。
薪でわかしたお風呂は本当に気持ちよかった。体の芯まで温まった。
あれはよかったなあ。
でも、薪で風呂をわかすためにどれほどの手間がかかっていたかを思い出すと、まあ、なくなっちゃったのも仕方ないなと思う。
そんな薪のお風呂で、母と一緒に作った鈴のことを思い出した。
小学校の頃だった。
母が粘土を買ってきた。ちょっと手にとって細長い紐状にした。
それをぷつぷつ切って、私と妹に渡し、丸めるように指示した。
私と妹は手をくるくるまわして、小さな真珠のような球を作った。
これを乾かし、菓子の缶の蓋に乗せて風呂釜に入れて焼いた。
カランカランと音がする土製の球ができた。
次にこの球のまわりに新聞紙をちぎってくっつけて、丸くした。
そのまわりにまた粘土をつけていく。小さなみかんのような球ができた。
その球の一端をのばしていく。ここに紐を通す穴を開けた。
この穴の真下にあたる部分を細長く切り、穴を開けた。
乾かしてからまた風呂釜へ。
焼き終わると穴の空いているところから、中の新聞紙(が焼けたもの)をとりのぞいた。
コロコロコロと素朴な音がする鈴ができた。
鈴が自宅で作れるなんて思っていなかったから、すごく嬉しかった。
母と相談して、この鈴に色をつけた。
先が尖っているので、みかんというわけにはいかない。
確か、ナスや桃などに見えるようにした。
更にニスを塗った。
焼き物で壊れやすいから、どこかに持っていくというわけにはいかなかったけど、自分で作った鈴なんてすごいと思った。大事にしていた。
はずなんだけど。
今も残っていたら、宝物になるのになあ。
どこにあるのか分からない。
捨てるわけがないから、家のどこかにあるんだろう。
母は手作りするのが好きで、私にもいろいろ教えてくれた。
その、ほとんどのものが、今は手元にない。
宝物だったんだなあ。
今も、毎日の生活が宝物であり、大切にしなくてはと思う。