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『刀剣の基礎知識と蛍丸』~今よみがえる、阿蘇の名刀~リテラ探求学習研究レポート

ゲームを通じて、刀剣に興味を持つようになったMさんは、日本刀について詳しく調べることにしました。

素材や様々な形を紹介しながら、特にMさんの好きな『蛍丸』という刀について、詳しく掘り下げて発表してくれています。

この研究をしたのは卒業生のM・Mさんです。



■プレゼンテーション動画


■リテラの先生からのコメント

Mさんの「推し刀(とう)」への思いのこもった発表でした。
スマートフォンゲームという新しい文化と、刀剣という伝統文化が結びついて、蛍丸の復元プロジェクトという、日本の文化財を復元し守る活動の原動力になったのですね。
文化を受け継ぎ、未来へつなげていくには、いろいろな形があるのだと考えさせられる発表でした。
これからも、美術品や文化財に関わる研究を深めていってください。


■テキスト資料

みなさんは、スマホゲームをされていますか?
私は、刀剣乱舞に今、ハマっています。
刀剣乱舞とは、日本刀を男性に擬人化した刀剣男士を収集・強化し、日本の歴史上の合戦場に出没する敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲームのことです。


日本刀とは、約1000年前に誕生し、現代まで作り続けられている日本の伝統工芸品です。
日本刀は、折れず、曲がらず、よく切れる性能があります。
それは、軟らかくて折れにくい炭素を含むしんがねと硬くて折れやすい炭素を多く含むかわがねの、二種類を使っているからです。


そして、日本刀を作るうえでとても重要な材料があります。
それは、玉鋼という和鉄です。
玉鋼は鉄の純度が高く、不純物も少ないため日本刀を作るのに大切です。
玉鋼はしんがねと、かわがねを作る際に最も大切な材料となるのです。


日本刀の種類には長さによって四つのジャンルに分けられています。
一つずつ簡単に説明していきます。


一つ目は四つの中でも一番長い、太刀です。
太刀は、騎馬戦が中心だった平安時代中期から鎌倉、室町初期にわたって使われていた日本刀です。


二つ目は、刀です。
刀は、室町時代中期以降に歩兵戦が中心になり、太刀のように腰に下げているとぶらぶらして邪魔になることから、腰帯にさすようになりました。
このイラストでは太刀と刀の両方が差されています。


三つ目は、脇差です。
脇差は、主に室町時代頃から登場し、戦の中で本差の刀が折れたり使えなくなってしまった時に使用する、補助的な役割を担っていました。
これは奥が脇差し、手前が刀です。


四つ目は短刀です。
短刀は先程の三つの刀と比べるととても小さく作られていて、長さは約30cm以下です。


大太刀や刀とは違って女性や子どもでも扱えることから古くから護身用として重宝されてきました。
この写真を見てわかるように日本の和装の結婚式では花嫁道具の一つに懐の剣と書いて「懐剣」と呼ばれる短刀を身に付ける習慣があります。


さて、長さの違う日本刀について説明し終わったところで私の好きな推し刀について話したいと思います。
私の好きな刀は蛍丸という日本刀です。


まず、この刀について説明します。
この刀は、南北朝時代に南朝方として戦った肥後国、今の熊本県の武将阿蘇これずみの愛刀です。
刀の種類は大太刀となります。太刀よりも一回り大きいのが特徴です。
作者は、鎌倉時代後期、やましろのくにで活躍した刀匠らい、くにとしという人物です。
蛍丸という名前ですがこの刀には伝説が残っています。


阿蘇これずみが足利尊氏を迎え撃ち、激しい戦いで刃こぼれだらけの大太刀を持ち、阿蘇の家に帰り、寝床についたときにある夢を見ました。
夢の中で何百匹物の蛍が傷だらけの大太刀に集まり、淡く青白い光が愛刀を取り囲み、光って消えました。
目を覚ました阿蘇が刀を抜くと刀身の傷が消え綺麗になっていました。
不思議な出来事により、大太刀は蛍丸と呼ばれるようになりました。
しかし、この蛍丸は太平洋戦争までは阿蘇神社に奉納されていましたが、戦争がはじまると地元の警察にあずけられました。


そして、GHQが行った「昭和の刀狩り」により行方が分からなくなりました。
刀狩りは武装解除を目的としており蛍丸や他の刀もGHQに接収されました。
ところが、2015年に蛍丸の写しを阿蘇神社にもう一度奉納する「蛍丸復元奉納プロジェクト」が開始しました。
このプロジェクトは、クラウドファンディングで支援金を集め、現代刀匠により蛍丸を復元し、それを阿蘇神社へ奉納するという企画です。
私が蛍丸という刀を好きになったのはゲームがきっかけでした。
刀剣乱舞のゲームをしているときに刀のガチャを引いたら大太刀の蛍丸に出会うことができました。


私は、ゲームから入り、様々な刀剣に出会いましたが、蛍丸に興味を持った時にこの刀の名前の由来や作られた経歴などを調べるようになりました。
そして、蛍丸が今日本には写ししかいないこと、また、まだ見つかっていないことが分かりとても悲しくなりました。
また、いつも前を向いて頑張ってる刀剣乱舞の「蛍丸」に背中を押され私も頑張っていきたいと思うようになりました。
私は、四月から大学一年生になります。文化財や考古学などを学べる学科で日本刀について調べ、自分の視野を広げていけたいと考えています。
そして、日本各地にある刀剣の聖地巡礼をしたいと思っています。
これで発表を終わります。
ご清聴ありがとうございました。


■研究の振り返り

◇これはどのような作品ですか?
刀剣についての知識と,、刀剣乱舞を通して調べてわかったことを、これからの大学人生で何を学びたいかまとめた作品。

◇どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
これまで発表してきたものが日本の物についてだったため、最後も自分の好きな日本の物を発表したいなと考えたから。

作品づくりで楽しかったことは何ですか?
自分の推しの刀剣が復元したものしかないことに驚いたし悲しかった。
著作権ギリギリのことを攻めて刀剣乱舞の好きなキャラクターをスライドに貼ったり、推しの蛍丸について全力でPRしたこと。(笑)

作品づくりで難しかったことは何ですか?
刀の種類について紹介するときに、どちらが太刀でどちらが刀なのかを判別すること。

作品作りを通して学んだことは何ですか?
刀剣の知識は難しい単語が多かったため、小学生にどう説明したらわかりやすいかを考えてスライドに写真やイラストを使ったこと。

◇次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
蛍丸はクラウドファンディングで復元されたもののまだ本物の刀が見つかってないため、大学で文化財について学んだことを活かして何か自分にできないかを探したい。

◇来年、研究したいことはありますか?
リテラを卒業したので妹の研究発表を応援したり見に行きたい。

この作品を読んでくれた人に一言
刀剣は奥が深く、まだ私の知らない刀がたくさん日本各地にあります。
今回の発表を聞いて刀剣について興味を持ってくれた人は、自分の好きな刀を一つでもいいので探してほしいです!!

この記事を書いた生徒さん

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