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【最高】少女革命ウテナ第29話『空より淡き瑠璃色の』
はじめに
少女革命ウテナ第29話『空より淡き瑠璃色の』まで鑑賞完了しました。第24話で黒薔薇編が終わり、どういう展開になるのかと思っていたら、ウテナを倒すためにさらに強い剣(強い心)の持ち主を見つけて戦わせるという流れに入りました。
その中で、樹璃さん関連の話である第28話『闇に囁く』第29話『空より淡き瑠璃色の』があまりに素晴らしく、恋愛における利他主義、「忍ぶ恋こそ本物の恋愛だ」と言わんばかりの武士道的恋愛を見せられて感動してしまいました。記録したいと思います。
葉隠武士道における恋愛
恋愛の極致は忍ぶ恋と見なされます。出逢ってからは恋愛の品位が低下します。一生相手に明かさず、憧れ続けたまま死ぬことこそ、恋愛の真髄です。
歌に、
「恋死なん 後の煙に それと知れ 終いにもらさぬ 中の思いを」
(思い焦がれたまま死んだ私を焼く煙を見て、最後まで打ち明けなかった私の思いを知ってほしい)
…とあります。これこそ格調の高い恋なのです。
世間では一口に恋愛と言いますが、真の恋愛は極めて稀です。恋愛は神聖だ、と言いますが、この神聖な恋というものは、よく考えてみると、ざらにあるものではありません。
葉隠れは、恋も徹底的に利他であると考えています。功利的に、相手を自分のものにしたいというのは、それは恋ではなくて、自分の欲望である。自分のものにならないからといって、仕返しをしたり、恋人の幸福を踏みにじったりするのは、もちろん恋ではありません。
それから、肉欲を目的とした相手は、恋ではあり得ません。これは要するに自分を満足させるために選ぶ餌食でしかあり得ません。また、自分の利益のため、出世のために好都合だと思う心が根にあって、恋のような形になり、その思慕が募ったとしても、それは恋愛ではない。
世間が恋愛と称するものに、こうしたご都合主義のものが多いことには、まったく呆れます。そんなものは失恋したといっても、やけ酒でも飲むか、または遊蕩でもすれば、やがておさまるくだらないものです。
真の恋愛は、思い焦がれたまま死ぬのだと葉隠は言います。相手の幸福を祈り、一生心の中に秘めて終わる、という恋愛がもっとも尊いのです。
現代の多くの恋愛は、まさに遊戯である。恋愛遊戯は、もっとも危険な非遊びである。火遊びはけっして、その人を向上させはしません。
神聖な恋愛、最後まで打ち明けもしないで終わる、真の忍ぶ恋であれば、その人は恋愛によって、利他の尊さ、その精神の美しさを体得するのである。
第29話の名シーン
樹璃「…彼女を傷つけることが、そんなに楽しいか?」
瑠果「君の潜在能力を最大に発揮すれば、君は誰にも負けない。君の能力を引き出せるのはこの僕だ。君と僕が組めば、天上ウテナを倒せる。そして、奇跡の力が手に入る」
樹璃「枝織と私をここまで追い込んだのはそのためか?」
瑠果「奇跡が現れるには、犠牲が必要だ」
樹璃「卑怯な!そこまでして奇跡の力が欲しいのか!」
瑠果「奇跡の力が欲しいのは君だろ」
樹璃「枝織は貴様の道具じゃない!」
瑠果「奇跡を信じて思いは届くと…これは君の言葉ではなかったかな?」
樹璃「貴様は何か勘違いをしている。私は、私の思いなど届かなくてもいいのだ。もし奇跡の力を手に入れたとしても、私が望むのは貴様から彼女を解放すること、それだけだ。これ以上好きにはさせん」
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瑠果「樹璃。彼女は愚か者だ。自分に降ってきた奇跡が、誰かの犠牲の上に成り立っていることに気づかないのだからな。だがそんな奴こそ、奇跡を手にする!理不尽だと思わないか!?樹璃!」
影絵少女A「ねえ、知ってる?」
影絵少女B「うん、あの患者さん昨日亡くなったのよね」
影絵少女A「いい男だったのに可哀想」
影絵少女B「退院したらまたフェンシングやりたいって言ってたのに」
影絵少女A「あの人、自分の病気のこと知ってたみたい。なのに無理して退院して学校に戻って」
影絵少女B「きっとフェンシング部に好きな子でもいたんだわ」
影絵少女A「そういえばあの人よく言ってたわ。愛する人に奇跡の力をあげたいって。あの人を解放してあげたいって」
影絵少女B「何それ。どういうこと?
影絵少女A「さあ…」
![](https://assets.st-note.com/img/1717580723226-4eTFmaqCed.jpg?width=800)
樹璃『お元気ですか。私は、今度あなたに会ったときに、ぜひ尋ねてみたいことがあります。あなたは奇跡の力に、どんな思いを託していたのでしょうか。そしてその思いは、誰かに宛てたものだったのでしょうか。願わくばその思いが、届きますように…』
感想
黒薔薇編までとは違って、自分の心から剣を引き抜いてもらって戦うようになりましたね。ウテナが決闘に勝利するたびに永遠の城に近づき、決闘場までの道のりも螺旋階段を登っていくのではなく、エレベーターで昇っていくようになりました。
演出も変身ヒロインっぽくなりましたが、思想的にはどんどん深くなっていってる感じがします。この先どのように展開されていくのかますます楽しみです。
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