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【神回】少女革命ウテナ第12話『たぶん友情のために』観ましたー。

はじめに

 prime videoで『少女革命ウテナ』第12話「多分友情のために」鑑賞完了しましたー。第11話の「優雅に冷酷・その花を摘む者」で、一瞬桐生に憧れの王子様の気配を感じたウテナが決闘に敗れ、アンシーを桐生に奪われてしまいました。
 ウテナは”世界を革命する力”に興味はなく、ただアンシーを普通の女の子に戻してあげたいだけでしたが、”薔薇の花嫁”であるアンシーに自分の意思はなく、決闘に敗れ主人でなくなったウテナにアンシーは事務的に接します。

 そして、今までの言動はウテナに合わせてウテナの望むとおりに振舞ってきただけであり、ウテナの想いを打ち消すように桐生の後に続いて「私は薔薇の花嫁でいられて幸せです友達はいらない。ひとりが好きです」と復唱します。
 アンシーのために戦っていたと思っていたのに、それはあなたが自分の願望を押し付けていただけ、というスタンスを取られ泣き崩れるウテナ。力なき正義は無意味であり、敗者の言葉には誰も耳を貸さない、という男の世界のルールが色濃く発揮された回でした。
 果たして今回はどうなっていくのでしょうか!?記録していきたいと思います。

第12話前半のあらすじ

 第12話は、決闘に敗れたウテナが桐生に「王子様を気取ってても、所詮は女の子だな。これを普通の女の子に戻れるいいチャンスだと思うことだね」と言われるシーンから始まります。ウテナは落ち込んで学校を休みます。
 翌日は登校しますが、決闘で制服が切り裂かれたのもあって、それまでの男子制服のブレザーではなく、女子制服のセーラー服で学校に向かいます。

 もともと美人だったウテナが本来の女子が着るべき服装になったことで、その美しさに周囲は色めき立ちますが、ウテナは王子様であろうとする自分を失った寂しさを感じます。
 「これで普通なんだ。…明日からもこれにするよ」と自分に言い聞かせるように親友の若葉に告げますが、「おはようございます、天上さん」と横を通り過ぎるアンシーに動揺します。

慇懃に挨拶するものの、他人行儀な冷たさを感じさせるアンシー

 その後、落ち込むウテナと若葉が学食でお茶をしていると、桐生とアンシーがやってきて、桐生に肩に手を回されたり、髪を触られたり、デートに誘われたりと、露骨に女扱いをされますが、ウテナは抵抗せずされるがままにします。
 若葉が、いつも通り男らしく跳ねのけろと発破をかけますが、ウテナは無反応で、痺れを切らしてコップの水を掛けます。すると、その水がアンシーに掛かってしまい、若葉はアンシーに詫びつつもウテナがこうなったのはあなたのせいだと攻撃し始めます。

 すると、微動だにしなかったウテナが若葉に平手を見舞います。若葉もウテナに平手を返しますが、ウテナはアンシーのことしか頭にない様子でした。

ウテナから水を拭くためのハンカチを受け取って微笑むアンシー

 すぐに若葉とは仲直りしますが、若葉に「ウテナは普通じゃないのが普通だった。今のあなたは何か奪られた腑抜けみたい。奪られたら奪り返してよ!」と涙ながらに訴えられます。

若葉の想いを受け取ったウテナ

 ウテナは若葉に「今から僕の普通を取り戻してくるよ」と宣言し、桐生に決闘を申込みます。ウテナが取り戻したいのはアンシーなのでしょうか。それとも、王子様としての自分の生き方なのでしょうか。


感想

 23日放送の『虎に翼』で寅子がよねさんに「お前は男に守ってもらってるのがお似合いだよ」と批判されたのに見事にリンクする回で、とても心に効いてしまいました。
 人は誰でも誰かのために戦っていますが、何のために戦っているのか(働いているのか)を直視させられる回でした。

 また、普通に勉強して普通に就職して普通に恋愛して普通に結婚して普通の家庭を築いて…といった「普通」とは何なのか自分に関係ない「普通」は、自分にとっては普通ではなく、普通ではないのが本来の自分であり普通なのである、と信念を貫く尊さを見せられた気がしました。神回でした。
 人には誰しも、自分の命よりも大事なものがあります。本当の強さとは、美しいものですね。

 必要なのは、知識ではない。志と行動、そして瑞々しく美しい精神だ。その精神は、美しい肉体にこそ宿る。肉体の堕落は精神を蝕んでしまうからな。私が信じるのは、この日本だ。

三島由紀夫

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