冬瓜すり流し【料理】【ワイン】【ペアリング】3点に分けてこだわりを解説します
【料理】
8月 懐石のテーマ
「夏日清風」
夏の暑い日に少しでも涼しく
気分良く食事を楽しんで頂きたい
という想いです
⚫︎吸物
コンセプトは「夏の川」です
旬である川の鰻、早松茸
そして、冬瓜は夏の淡い川の色合いを
岩子豆腐は川の中の岩苔を
見立てています
このお椀一つで
細かい味や香りの変化を楽しんで
頂きたいというのが料理長の想いです
4段階の構成になっています
④天に 葱と木の芽
③上段 鰻と早松茸
②下段 岩苔豆腐
①吸地 冬瓜のすり流し
①吸地
すり流しには、旬であり
他に染まりやすい冬瓜を
選んでいます
冬瓜はコクのある鴨との相性がいい
ので、鴨の皮を焼いて余分な脂を
落としたものと冬瓜をゆっくりと
含ませながら炊いていきます
冬瓜の色目と柔らかさを大切にし
通常は熱湯でもどしますが、料理長は
水からもどしています
少しずつ温度をあげていき
85℃をキープし30〜40分炊くと
鮮やかな真っ青の色合いと
ちょうどよいベストな柔らかさに
なります
それを鰹出しと合わせて
すり流しにします
②岩苔豆腐
あおさ海苔の香りを大切に
強すぎず旨味もある
ゆりね小柱、椎茸を入れています
豆腐の硬さが重要で、崩して
吸地と一緒に馴染むように味わって
頂く事が目的です
③鰻と早松茸
鰻は骨切りし、焚いてから蒲焼きに
味にインパクトを与える役割です
早松茸は広島のモノを使用し
香りに変化を与えます
④髪文字葱と木の芽
最後に更に変化をもたらしてくれます
この4つの要素が
食べすすめていくと
①の冬瓜すり流しから楽しんで頂き
次に②岩苔豆腐を崩すことで吸地と交わり
あおさ海苔の香りと中具の様々な味わい
によって変化します
更に③鰻と早松茸は吸地には
最初浸かっていない状態でしたが
吸地に入る事で
鰻のインパクトと
早松茸の香りが広がり
また新たな味わいを演出されます
最後に④髪文字葱と木の芽で
更に、余韻を楽しむような変化を
もたらしてくれます
夏の川をイメージとした物語の中で
段階を踏んで食べすすめていく事で
一つのお椀から様々な味わいと香りの
変化を楽しんで頂けます
そこまで緻密に計算された
味と香りの変化と
決してそれぞれが邪魔をするのではなく
まとまりをもって完結しているバランス
料理長から伺った際に言葉を失い
料理へのこだわりの深さに
心から感動しました
【ワイン】
(産地)フランス ブルゴーニュ
(品種) シャルドネ
1985年に設立されたポマールに本拠を
置くドメーヌです
口数の少ないジャンの代わりに
そのワインが多くを物語ると言っても
いいほど、彼の造るワインは表情が
とても豊かです
そして
マコンには豊富な日照量がある事から
果実はよく熟し、厚みのある果実味を
ワインにもたらし、適度な酸も持ち合わ
せています
石灰質土壌に由来する、鉱物的な
ミネラル感を持ったワインが生まれます
更に化学肥料や農薬を使用しないことで
微生物の働きが活発になり、健全で成分
豊かな土壌が育ち、その豊かな成分を
吸い上げ、ミネラルなどの成分を
多く含んだマコンの土壌の特徴を
反映したピュアなワインを生んでいます
【ペアリング】
お椀の素晴らしい味の変化に
振り回される事なく
しっかりとした軸をもちながら
ワイン自体も様々な表情をみせて
くれます
ミネラルを感じつつ
りんごや桃、白い花や蜂蜜のアロマを
感じ、ほどよい樽香もあります
そして
ジューシーでフレッシュな酸味
肉厚なボリューム感とミネラル感の
表現が素晴らしいです
ワインとお椀の
根底にある味のトーンは抜群に良く
お互いが変化し合いながらも
結局は手を取り合いながら
余韻も含めて、私達の目指すべき
味の終着点に向かってくれます
それだけ、それぞれが高いクオリティと
ポテンシャルを秘めているのだと
感じました
今回のワイン
ジャンマルク・ボワイヨは
天橋立にある
素晴らしいワインと
「ワインとお宿 千歳」さんより
教えて頂いた思い入れのあるワインです
本当にありがとうございます
ソムリエになりたての時は研修にも
行かせて頂き、今でも大変世話に
なっています
是非こちらもワイン好きの方はチェック
されてみて下さい
よろしくお願い致します✨
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