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内なる聖地「戸山公園」に行ってきました。

どうも。
サザンオールスターズなら「Ya・Ya 〜あの時代を忘れない〜」が大好きなKトレです。

久しぶりにロケ地に関する投稿。
今回のキーワードはズバリ「山手線の内側」です。

特撮作品において、大破壊のカタルシスを必要とするミニチュアセットは別として、ロケーション撮影において東京都心部が舞台となる事はそれほど多くありません。
特にJR山手線の内側…古くからの"江戸町域"に当たる場所でのロケは人避けの困難さ等から極めて稀な印象ですが、その分だけ登場した際にはインパクトを残します。
東京ドーム、神宮外苑、そして東京国立博物館…。
記憶に新しいところでは「劇場版ウルトラマンブレーザー」でも、国会議事堂のミニチュアに合わせてかわざわざ憲政記念館でロケが行われていました。

今回はそんな都心部でもある種異色のロケ地「戸山公園」の紹介です。

(取材日:2024年3月22日)

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JR新宿駅東口

今でこそ新宿駅のパブリックイメージはテレビ中継でも定番の南口だと思われるが、もともとは旧甲州街道の内藤新宿に面する東口が、新宿駅のメインエントランスだった。
「仮面ライダー」第82話「怪人クラゲウルフ 恐怖のラッシュアワー」など明確に新宿を舞台とする昭和特撮にもしばしば登場している。
そう、今回のスタートは面倒にも新宿駅だ。
もっと近い駅はごちゃまんとあるのだがそこから歩いても記事にならないのでここから30分ほど歩く。

「いいとも」世代です。

東口とアルタ前広場からかつての内藤新宿方面に伸びる新宿通りは、青梅街道の流れを汲むとされる新宿のメインストリートだ。特に新宿三丁目駅に近い伊勢丹が、今なお往時をしのばせる。
「仮面ライダーV3」第49話「銃声一発!風見志郎倒る」では、志郎とゲストの薄幸少女が出会う場、或いは別れる場として新宿通りが登場する。
因みに同話ではヨロイ元帥が映画館の看板越しに少女に目をつける場面があるが、これは恐らく交差点の先にあった新宿東映会館を意識したものと思われる。(現在の新宿バルト9の位置にあったらしい。)

その新宿三丁目交差点を左に曲がり、明治通りを20分ほど北上する。
さすが環状道路だけあって道は広く、また地下鉄副都心線の建設に合わせて電線の地中化も進んだので非常にきれい。
途中、右側に現れる新宿イーストサイドスクエアはスクウェアエニックスの本社が入っており、こんなお店も。

カフェです。

さらに道を進み大久保二丁目交差点を右に入れば目的地の戸山公園だ。

戸山公園は1954(昭和29)年に都立公園として整備された。(ゴジラと同い年!)
元々は江戸時代に戸山地区の台地を暴れん坊将軍のヴィラン尾張徳川家が藩邸として整備したのが始まりで、当時はかなり本格的な庭園か何かだったようだ。明治維新後は陸軍学校としての活用を経て現在に至る。
その頃から一帯のシンボルだったのが、公園入り口から奥に進んだ場所にある箱根山だ。

ヤマノススメ

箱根山は庭園のシンボルとして造成された人工の山で、相模国(神奈川県)の箱根山に肖って名付けられた。何故箱根かというと庭園のコンセプトが小田原宿(旧東海道、神奈川県小田原市)だかららしい。
人工とはいえ標高は約44.6mとの事で、都心部、特に山手線の内側では貴重な高台だ。
そして、戸山公園でロケが行われた作品の大半は箱根山で撮られている
東映特撮の場合、大泉撮影所の至近に当地よりもずっと広い石神井公園や光が丘公園があるので、単純に公園とか森林のロケーションを求めるならそちらなのだろう。
箱根山以外だと特定が難しいってのもあるけど

「イナズマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」「バトルフィーバーJ」「星雲仮面マシンマン」「巨獣特捜ジャスピオン」…。登場作品はめちゃくちゃ多いのだが中でも最初期に当たるのが、これまた「仮面ライダーV3」第2話「ダブルライダーの遺言状」だ。
デストロン怪人カメバズーカが、体内の原子爆弾を都心部で爆発させんと登ってきたのが箱根山なのだ。

あらぁ?

死闘の末、ライダー1号2号はカメバズーカもろとも海の彼方へと飛んでいく。そう、あれは箱根山とその近くの都心部=新宿を守る為だったのだ!
妙に説得力がある。
(因みにダブルライダーが砲撃を避けるカットは「仮面ライダー 冒険王 -秘蔵写真で見る仮面ライダーの世界」(秋田書店)によると八王子市の造成地だったそう。東映ワープの片鱗を感じさせる。)

ついでに同話に登場するもう一人の怪人、ハサミジャガーが潜伏していた教会も箱根山の麓にある。

今は幼稚園だそうです。
うっかり入らないように。

この場所は「V3」主演の日本一のヒーロー俳優、宮内洋氏のクランクインの地としてバイクを転倒させたエピソード共々一部で知られている。山頂からは目と鼻の先だ。

明治通り方面を臨む

それにしても映像と比べると、すっかり木々が伸びてしまってるのが一目瞭然である。
自然が失われる事によって姿を消すロケ地も多い中、むしろ自然が生きる事で風景が一変してしまった箱根山の存在は希少かもしれない。
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というわけで下山。
少し離れたところには普通の運動場もある。

Oh!チャイルド

以前訪れた際、何やら被り物をして撮影してる学生に遭遇した事がある。
早稲田大学のアクションサークルか何かだろうか?

ちなみに筆者はその時こんな写真を広場で撮っている。

広場を後にして来た道を戻る。

公園までの道に並ぶ戸山アパート。こちらで撮った作品があるかどうかは調べなかったが、これまた昭和な雰囲気が残る。

今回の探訪はこんなところだ。
正直、当時の雰囲気を感じるにはちとパンチが弱いロケ地…とは思うのだが、興味のある方は「これが山手線の内側にある」って特異さも含めて体験してみてはどうだろうか。


ちなみに先ほどの交差点に面しているのが地下鉄東新宿駅。或いはJRで帰るなら新大久保駅まで歩くのも良いかもしれない。ただし道は平日でも混んでる。流石東日本最大のコリアタウン…!

ではでは。