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自主学習ノートの功罪 学習課題はどうあるべきか

こんにちは 山本です。
今回は、自主学習ノート(以下、自学ノート)についてです。

自学ノートとは

自学ノートは、自分で学習したい課題を設定して、自由にノートに記入して学習するというものです。教員が課題内容を設定することなく自分で決められ、自分に必要な課題が選べることや、学習習慣が身につくなどのメリットがあります。

自学ノートの例➀
四国地方の特徴が上手にまとめられています


自学ノートのデメリットとは

上記の様に書くと、良い課題だと思われるのですが、デメリットもあります。むしろ、私はこの自学ノートに関しては否定的な立場です。
デメリットとして

  • 1日1~2ページのノルマが設定されており、毎日提出しなければならない場合が多い。

  • ノートに記入する以外の課題提出方法が認められない。

  • ノートの量だけに注目して、内容に触れられていない場合が多い。

  • ノートに文字を書く作業=学習 という誤認が発生する可能性がある。

自学ノートの例②
「五か条のご誓文」を写した。漢字を写したとの事

などが挙げられ、このような状態になっている自学ノートは、課題として問題があると感じています。私はこれまで、ノートにたくさん文字を書いて学習しているつもりになって、全然効果が出ていないお子さんや、この課題に時間を取られて、本当に必要な学習を行えないお子さんをたくさん見てきました。上の画像の様に、ただ教科書を写したものや、問題を解くだけで直しをしていないノートが、そのようなお子さんの典型例です。
また、教員の皆さんも多忙であるため、課題として出したはいいが、その内容をほとんど確認できていないのが現状です。上記の教科書を写しただけのノートの評価は「いいですね」(リラックマのスタンプ)とのことです。

うちの子はちゃんと成果が出ている!

この様に自学ノートに対して批判めいた事を書くと「うちの子は楽しく課題をこなしてます」とか「家で何もやらないよりは課題を出してもらった方がありがたい」などの反論があります。
はい、仰る通りだと思います。是非、その調子で自学ノートを続けていただけたらと思います。
ただ、「全員にノルマを課してまで強制する」必要はあるのでしょうか?
一人一人、学習の方法は違っていいはずです。今は良質な問題集やデジタル教材も普及しています。手段をノートに限定する必要はありません。
勿論、ノルマ設定せず全員に提出を強制しない、本当の意味での「自主学習ノート」であるならば、私も賛成です。

背景に「評価のしやすさ」が隠れていないか

私は、この自学ノートを岐阜に来てから初めて知ったのですが、調べてみるとかなり広まってしまっているようです。
背景としては、観点別評価により、テストの点数以外でも評価しようという流れになり、提出物を出している⇒関心・意欲・態度が良い というような評価をするために都合の良い課題となっている事が考えられます。
また、多くはスタンプを押したりサインをするだけで確認が行えるので手間がかからず、埋めたページ数が多いと高評価という様に、評価のしやすさもあるかと思います。
秋田県では、かねてよりノートを使った指導が盛んらしく、その辺りの成功事例を元に、「真似しやすい」楽な部分だけ導入してしまった可能性もあります。
しかし、評価がしやすい課題が必ずしも生徒のためになる課題でない事は、ご理解いただけるかと思います。

自学ノートの現状と今後

おかげさまで、当塾のまわりの中学校では、自学ノートのノルマを強制することは、ほとんどなくなってきました。以前は、「夏休み中にノートを2冊埋めてくる」などの理不尽極まりない課題が出されていましたが・・。
これも粘り強い説得が功を奏したのかなと、私は勝手に思っています。
ただ、少し遠くの中学校から来ているお子さんに聞くと、まだ課題として出している学校もあるようです。
自学ノートの今後としては、ノルマを課さず、本当に生徒の自主性や主体性を育むような課題に変えていく必要があると思います。または、手段をノートに限定せず、各生徒が必要な学習を行える様、課題を選択できるようにしていくべきではないでしょうか。正直、塾としては、無駄な課題を出さないでくれるだけでありがたいんです・・。

教員の皆さんにおかれましては、ご多忙の事とは存じますが、今一度教育の基本に立ち返って、本当に生徒のための課題となっているか、皆が一律の課題を行うべきなのかを考えていただけましたら幸いです。

山本

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