【漫画初心者の私が感じたこと】♯2『機動警察パトレイバー』編
①【前書き】
ようやく涼しくなってきました。
私の得意な季節です。
とは言っても、これ以上進むと私の管轄外なので、後は家でぬくぬくして籠ります。
さて、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私は連休の間に「機動警察パトレイバー」を読破いたしました。
そして、そのままの勢いで劇場版も視聴しました!(難しかった…)
ロボットものの漫画を読んだのは、今回が初めてでした。
そして、何故かは分かりませんが登場するロボットは「ロボット」ではなく「レイバー」と呼ばれています。
今回は、小学生の頃ガンダムのことをロボットと言って父に「モビルスーツだ!」と軽く説教された教訓を活かし、「レイバー」と呼んでいきます。
②【現実の延長線上にある世界】
まずはパトレイバーの世界についてですが、これは漫画に記載されていました。
どうやら、時代はそこまで未来というわけではないようです。
携帯もガラケーですし、公衆電話もフツーに出てきます。
物語の冒頭で、主人公の泉 野明は第2小隊設立に伴い新たに導入される、新機種の適性試験に向かうことになります。
主人公が類い稀な才能や能力を持っているのは、あるあるだと思います。
勿論、泉もそのパターンに当てはまります。
では、それは何か。
乗り物酔いに強いッッ!
( ・д・)「!?」
と言うのも、第2小隊に導入される新機種・98式AV 通称「イングラム」は、今までのレイバーを遥かに凌駕する性能を持つ一方で、乗り心地が非常に悪いという欠点があります。
そのため、「乗り物酔いに強い人間でないと搭乗できない」という、デカすぎるデメリットが存在するわけです。
まあでも、「スポーツカーに乗り心地を求めるな」と父が豪語しているように、レイバーも機能性を求めるなら、ある程度は我慢せにゃならんということでしょう。
それに、よくよく考えれば、相手を取り押さえるために走ったり戦闘をしたりと、イングラムは機動性を求められます。
そうなると、操縦者は激しい揺れに耐えねばなりません。
うーん、そこを突いてくるか。
しかし、この設定が、「レイバーが本当にこの世に存在しているのではないか」と思わせる、1つの要因になっているのではないでしょうか。
ちなみに、第2小隊のメンバーはこんな感じです。
〔隊長〕
後藤 喜一
〔巡査部長〕
熊耳武緒
〔巡査〕
泉 野明
篠原 遊馬
太田 功
進士 幹泰
山崎 ひろみ
第2小隊は、ほとんどが候補生上がりという、なんとも心配な体制でスタートを切ります。
しかしご安心を。
第2小隊には「カミソリ後藤」がついてますから。(?)
③【カミソリVSカリスマ】
機動警察パトレイバーには、多くの事件と悪役が登場します。
その中でも、物語の中心となる事件は内海(リチャード・王)という男が巻き起こす一連の騒動にあります。
内海はイングラムを越えるレイバーの製造という野望のため、上層部の人間を巧みに利用し、着々と準備を進めます。
完成した「グリフォン」は性能面でイングラムを大きく上回っていますが、泉の操縦するイングラムも負けてはいません。
数々の実戦を乗り越え、操縦者と一体化したイングラムは、その性能の差を埋められる程の実力を発揮します。
最後はイングラムとグリフォンの一騎討ちとなりますが、その結末はぜひ単行本をご覧下さい。
さて、私がこの作品に強く惹かれたのは、この内海という悪役の圧倒的カリスマ性にあります。
事実、彼に従う者も多いですし、第2小隊の巡査部長である熊耳は、過去に内海と恋仲であったということが後に判明します。
物語の中盤、イングラム導入を巡る賄賂疑惑が浮上した際には、「ズルをしたイングラム」と「正義の鉄槌を下すグリフォン」という、逆転の現象が起きてしまいます。
第2小隊にも嫌な空気が流れていましたが、どちらを応援したら良いのか、読者の私も複雑な気持ちになりました。
『でもこれじゃあ、泉たちでは内海に太刀打ちできないのでは?』
…ご安心を。
第2小隊の隊長・後藤も、「カミソリ後藤」と呼ばれる程のかなりのキレ者です。
漫画版は熊耳が「ジャックナイフ」と呼ばれていたことへの対比として、第1小隊の南雲隊長が発した言葉ですが、少しイジっているような気もします(笑)
一方、劇場版だと「優秀だが危険な人物」という意味合いで使われており、劇場版のシリアスな雰囲気に見事にマッチしています。
「イングラムとグリフォン」というレイバー同士の戦いの裏で、「後藤と内海」というキレ者同士の勝負も繰り広げられます。
ここで重要なのは、後藤が警察官であるということ。
後藤はその役職に縛られ、思うように動くことができません。
内海はそんな後藤たちの「後手でしか動けない」という弱点をよく理解しており、物語の終盤まで優位に話を進めます。
ただ、初めは非の打ち所がない、完璧な悪役として君臨していた内海も、徐々に追い詰められていきます。
また、後藤からも「子供のような犯罪者」と評され、内海の性格的な問題が露呈していきます。
不利な状況が多かった後藤ですが、刑事の松井と組んで裏で捜査を進めたり、泉たちから得た情報を紐解いていったりする中で、少しずつ真相に迫っていきます。
上の人間にも意見し、人を動かすのが上手い。
後藤隊長はまさにキレる人物なのでしょう。
そんな「敵に回したら怖い人」が初めから味方にいるというのは、読み進めていく中でとても心強かったです。
④【第2小隊を支える技術屋たち】
出動の度にイングラムは傷を付けて帰ってきます。(ほとんどは太田のせい)
そんなイングラムを修理したり、部品を交換したりするのが整備班の仕事です。
あまり描かれることのない技術屋たちの存在ですが、この作品では何度も登場します。
レイバーを操縦する者
指示する者
レイバーを整備する者
犯人を探す者
それぞれの役割が機能することで、警察は事件解決に近づけるのです。
主人公たちを支える存在。
あまり描写されない部分ですよね。
それもそうです。
そこを描いてしまうと、軸となるストーリーや、主人公たちの存在が薄れてしまう危険性がありますから。
ただ、この作品はそのバランスを上手く取っていると思います。
壊れた物を直す人がいる。
当たり前のことですが、これはとても重要なことです。
だってレイバーが壊れていたら、出動すらできないのですから。
⑤【後書き】
今回は「機動警察パトレイバー」を読んだ感想を書いてみました。
やはり、警察モノは爽快感があります。
犯人を捕まえて事件を解決する。
でも、その裏には様々なドラマがある。
それを見事に漫画に落とし込んでいる印象を受けました。
また、この作品には多くの「上司」が登場します。
南雲隊長・後藤隊長・内海課長etc.
自分の好きな上司を探してみるのも良いかもしれません。(私は内海派です)
絵についてはあまり触れませんでしたが、作者である ゆうきまさみさんの絵はとても見やすかったです。
キャラクターの表情から心情が読み取れるので、ストーリーがスルスル入ってきました。
さて、次は何を読もうかなあ。
機動警察パトレイバー:ゆうきまさみ 作