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窓が空いています

モノレールに乗った。

座席に座りスマホをいじっていると、前に男性が立った。
目の前には男性の腰。「社会の窓」が全開している。
そして窓から白いブリーフがのぞいている。

安心してください、履いていますよ。
ってか。

ちら、と見上げると疲れてるのか目を閉じてつり革に捕まっている。わざとではなさそうだ。
ということはうっかりさんか。

こういうとき、どう対応するのが正解なのか。

混んだ社内で声をかけるのも相手に恥をかかせそうだ。
だが気づかず知り合いに見られるのもどうだろう。自宅に帰るだけならいいのだが。

いまどき白ブリーフってあるんだな、通販だろうか。よく見たらズボンの上にもはみだしている。ベルトの位置が低いせいか見えている。
腰パン?それともブリーフってウエストマークだったりする?
それはそうとなぜ社会の窓って言うのだろう。

ぐるぐる思考が空回りする。

できるだけ見ないように手元のスマホに集中するが気になってどうしようもない。

結局、なにもできないまま駅に着き、モノレールを降りた。
男性はつり革に捕まり、目を閉じたままだった。

教えてあげられなくて、ごめん。
車内けっこう混んでたから周りに気づかれずに指摘するのは無理だわ。

誰に言うわけでもない言い訳をしつつ目的地に向かう。

ああ、男性が職場に着く前に気づいてほしい。
それか誰かうまく教えてあげてほしい。

こういうときにスマートに指摘できる大人になりたい。


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