「数学」って「国語」じゃね?(2)

 先だって「『数学』って『国語』じゃね?(1)」という note を書きました。

 「国語」にはいろんな意味があります。日本語を母語にする者にとって概ね「国語」とは日本語を指します。上田万年という明治時代の言語学者は、近代西洋国際法下での国民国家 nation state における standard languade の意味で「国語」を使いました。つまりこの意味での「国語」とは相対的に指示物が替わるもので、お隣の国、韓国では「国語」は韓国語を指示します。日本には国立国語研究所、韓国にも国立国語研究院がありますが、「国語」はそれぞれ、日本語、韓国語を指します。ただしこの意味での「国語」は国民国家と多かれ少なかれ結び付きを持ちますので、例えば在日コリアン二世・三世の方々にとって母語は日本語であっても、日本語を「国語」だとはしたくないでしょう。
 別の意味での「国語」は上の「国語」の能力の涵養を目的とした、義務教育である小中学校そしてその上の高等教育機関の高校、大学の科目です。前回、「国語」と言った時にはこの教科としての「国語」、そしてより特定して現国(現代国語)という教科を指していました。

 長たらしく説明すると、「X ハ Y デアル」という場合、Y は前回「現国」を指していて、さらにカテゴリー・ミスマッチが起こらない為には、X は「『数学』という教科」を非明示的に指示していました。

 次回はこのスキームを外して、やや別の方向から考えてみたいと思います。

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