人生の出会い

困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。
三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

なんて力を持った言葉だろう。
ありきたりな慰めの言葉ではなく、その人自身が持っている力を信じている言葉。

原田マハ作『本日は、お日柄もよく』

今日はこの作品についての感想を書こうと思う。


高校生の時に、毎月本屋で本を1冊買って読む、ということをしていた。
父の影響で古本ばかり読んでいた私に母が提案してくれたものだ。半年ほどでいつの間にかなくなってしまったのだが、その時買った中に、原田マハ作『暗幕のゲルニカ』があった。
それで面白い作家さんだなあという印象があったため、なにか別の作品を読んでみようと急に思い立ち、ネットでオススメされていた本作を選んだ。
読み切った今、本当にこの作品を読んでよかったと思う。


本作は主人公が片思いしていた幼なじみの結婚式で、天才的スピーチライターと出会い、その道に進んでいく物語だ。
大手製菓メーカーの総務として、安定した仕事をしていたにも関わらず、その仕事を辞めたことには非常に驚いた。

私が感じたのは、人生を変える出会いはいつ訪れるか分からない、ということだ。
就職活動をしていると、この先ずっと仕事をしていくだけなのかなと思いがちだ。もちろんそんなわけはないと思う。仕事だけになるか、それ以外のことにも挑戦できるか、自分次第だ。
でもこの先自分の人生のメインは仕事になるのだろうか、と少し暗い気持ちになってしまうような時がある。
何か自分の心をときめかせるようなそんな出会いはないんじゃないかと思ってしまう。

でもそんなことはないのだ。
たったのまだ21年しか生きていないのに、これで人生が決まってしまうなんてそんなわけはない。これから新しいことだって始められるし、出会ったことのない人にたくさん出会える。もっと自分は素敵な人になれる。
大丈夫だ。
そう思わせてくれる素敵な小説だった。

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