クラリネットとの出会い

誰しも人生のターニングポイントになるような、人生を変えるような、そんな出会いがあると思う。それは人であったり、物であったり、出来事であったり、様々だと思う。
私のこれまで21年生きてきた人生の中で、そういう出会いが2つある。
今日はその1つについて、つらつら思い出話や想いについて書いていこうと思う。


私にとって人生のターニングポイントとなった出会いの1つは「吹奏楽」、そして「クラリネット」だ。
出会いは中学1年生の時。
中学に入学し、誰しも考えることは「なんの部活に入ろう??」だと思う。私も例外ではなく、入学してすぐに体育館で行われた部活動紹介をワクワクしながら見ていた。
私は運動が非常に苦手で体力もなかったため、親からは運動部に入ることを薦められていた。小学校からの友達がバドミントン部の仮入部に行くというのでついて行ったこともあった。だが、なんだかしっくり来ない。どうしようかな、と中庭を歩いていた時、急に音楽が聴こえた。
音がした方に目を向けると、吹奏楽部の先輩方が演奏を披露していた。曲は覚えていないが、何か知ら有名な曲だったのではないかと思う。私の中学は弱小校でコンクールに出ても毎回銅賞というような学校だったため、きっと今聴いたらその演奏は上手くなかったのだと思う。でも、その時の私には楽しそうに楽器を吹く先輩方がキラキラかっこよく見えて、「楽器が吹けるってかっこいいな」と思った。
翌日、バトミントン部の仮入部に一緒に行った友達を連れて吹奏楽部の仮入部に行った。吹奏楽部の仮入部はたいてい楽器体験をさせてくれる。さっきも書いたように私は体力がなく、肺活量にも自信がなかったため、管楽器ではなく打楽器をやりたいなあと思っていた。あとから気づくのだが肺活量は鍛えれば何とかなり、私はそれよりもリズム感の方が壊滅的になかった。
フルート、サックス、ユーフォニアム、ホルン、トランペット、チューバ、トロンボーン、パーカッション。色んな楽器を体験するために毎日吹奏楽団の仮入部に通った。どんなに頑張ってもなかなか音が出ない楽器が多かった。
そんなある日、クラリネットの体験に行った。先輩に楽器とリードを用意してもらい、アンブシュアとドの音の運指を教えてもらう。そして大きく息を吸って、フーっと息を入れた。
音が出た。
レの音の運指を教えてもらう。また音が出る。次から次に新しい音を出せた。他の楽器はこんなふうに音を出せなかったため、とても嬉しかった。そしてそうやって音を出せた私を先輩がとても褒めてくれた。今ならわかるが先輩が私を褒めてくれたのは部員獲得のためのお世辞でしかなく、私より上手く吹ける新入生なんてたくさんいただろう。当時の私はそんなこと考えもしないから、褒めてもらえたのが嬉しくて、それから毎日クラリネットの体験に通うようになった。
クラリネットはドからラは比較的簡単に音を出せる。しかし、シになると急に全部を指を使い、キーを塞がなければならなくなる。まず指を正しい位置に置くのが大変で、さらにキーを全部塞いでしまうから息が入りづらくなる。ラまで順調に音を出せていた私は、シでつまづくことになった。
何度やっても指がズレてしまったり、息が上手く入らなかったりして音が出なかった。先輩も試行錯誤して教えてくれるが、なかなか上手くいかない。結局音が出せないまま、仮入部が終わる日もあった。シの音を吹くためにクラリネット体験に通い詰めた。そして何日かの挑戦を経て、ついにシを吹くことができたのだった。

こんな経緯があり、私は迷うことなく吹奏楽部に入部した。私の中学では第1希望から第3希望までの楽器を決めた上で、全部の楽器を吹き、顧問がパートを決める方式だった。私はいちばん体験に通ったクラリネットを第1希望にした。確か第2希望がサックス、第3希望がホルンだった。
パート決め当日、音楽室に楽器が並べられ、順々に好きな音でそれぞれの楽器を吹いていった。私がクラリネットを吹く番になった時、私は思い入れのある「シ」の音を吹いた。その頃にはなんなくその音を吹けるようになっていた。
私は希望通り、クラリネットを担当できることになった。

中学一年生の秋頃、トランペットの同期が自分の楽器を買ってもらったのを見た。なんだかそれが妙に羨ましくて、大して上手くもないのにどうしても楽器が欲しくなってしまった。しかし、楽器というのは非常に高い。ピンからキリまでだが、キリでも10万はする。私はダメ元で両親に中学3年分の誕生日プレゼントでクラリネットを買って欲しいとお願いした。驚いたことに、両親はその願いを聞き入れ、楽器を買ってくれることになった。あとから聞いたところ、楽器を演奏できるというのはこれからの人生が豊かになるだろうとの思いからだったらしい。両方の祖父母からも手伝ってもらいながら、私は中古ではあるが中高の吹奏楽部でよく使われる「クランポン E-13」を買ってもらった。2015年12月27日のことである。
余談だが、私の楽器は御茶ノ水の楽器店で買ってもらった。それで初めて御茶ノ水に行ったのだが、なんとも御茶ノ水の街の雰囲気が気に入り、こういうところに住めたらいいなぁと中学生ながら思った。なんとその6年後、御茶ノ水に本キャンパスがある大学に入学し、今まさに御茶ノ水に通っている。こういうことがあると人生って面白いなぁと思う。
買ってもらった楽器を私は大切に大切に使い続けている。中学生の時は思いもしなかったが、高校大学ずっと使い続ける私の相棒になった。
あの時楽器を買ってくれた両親には感謝してもしきれない。
こうして私は吹奏楽とクラリネットに出会った。

最初は吹奏楽についてかこうと思ったが、思ったよりその出会いとクラリネットを選んだ経緯が長くなってしまったので、今日はここらで一旦終わらせようと思う。
また別のnoteでエスクラリネットのこととかも書こうかなと思う。


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