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みそひと とな 2


父母に    虐げられし    この児らの   腕の青あざ    撫ぜるは哀し


遊んでと    言った子を    押し退けて    僕も僕もと 取り合う子淋し


何人が 母へ差し伸べる   救いの手 それさえあれば    子らが救われる


ただ君の 肌に触れたく 思うだけ 言葉に出せず 紙に書き留める


何がしたいか 何を成せるか 何を求められるのか 還暦すぎても 答え見出せず


似たる人の 笑顔を見ると 胸痛む きっと幸せだろうと 信じるしかなし


月が綺麗 伝えたい人は もういない いつの間にか 遠い昔になった淋しさ


透き通る空    透明な風     朝の空に浮かぶ    白い月が丸い


自転車の ペダルを踏むと   巻き起こる 風の中に 春が匂うよう


 島影に 黄色い花群を 見た気がするそれはきっともう 思い出になったから


かの山の 麓にありし 君の家に 近くて遠き 春霞 


遊んでと 首に腕回す 子の腕の 虐げられし 跡を手でなずる



思い出の 土地を巡りて あたらしき 思い出作り 君を忘れよう


風吹きて 黒雲満ちて 山近し 籾殻焼きて 立つ煙


捨てるのと 同じ意味合い ジイジにあげる 要らぬものだけど 宝物になる


やわらかな 日差し風はなし   空に雲なく ただただ青く    白い飛行機黒いヘリコプタ軌跡もなく


さざんかの 溢れおつる花びら 赤く溜め


立ち漕ぎで 向かう北風 かえりみち


背伸びする 小春日和の 窓の猫


道端に 落ちてる干し柿 カラス飛び


サザンカの 零れ落ちる 花絨毯


艶やかに 桃色卵 田に並び


苅田 ブルーシートに覆われし コンバイン


冬枯れて 飛ぶ鷺哀れ 力なく


桃白と 競うコスモス 風に揺れ


籾殻に 集う雀の 姦しさ


石垣に 逃げる蛇追う 黒き鳥


幼き日を 思い出させる 白詰草


古き音 哀愁郷愁 涙を誘う


思い出を 上書きして 忘れよう


腹ボテの 猫が臥したる シダの影

 

時見ると 汗の滲みたる 皮バンド


トネリコの 枝に危うき 肥える鳩


土乾き 用水待つ間に 青草生え


恐れでて 遠回りしたが 蛇に会う


いはせぬか 恐々積むる 蛇苺


手入れせぬ 庭にも一輪 白き花


綿帽子 飛びたる後の 河原岸


恐れあり ミミズさえも 蛇にみゆ


かや満ちて 水面見えぬが、音激し


競うよに 若竹出て 道塞ぐ


低く飛ぶ 燕多けり 蒸す昼に


麦立ちて 雲雀囀る こどもの日

 

社にも 蝶が舞うなり 田舎道


屋根届くも 折れじ伸びたる アスパラよ


虫のように 飛ぶ綿帽子 蝶も舞


弱草藤 紫萌えて 足止める


鶯の 姿探すも 森深し


真上から 鳴き声響く 法法華経


この径に 何羽いるやら 花見鳥 


前後上 靴音負けず 鳴く鳥よ


麦秋に 白雲眩ゆ 昼餉すぎ


砂浜に 朽ちき 鴎おり


草刈りし 翁を拝みて 歩く道


麦はまだ 青いぞ雀 我慢せよ

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