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TKB(トイレット・キッチン・ベッド)


先日のNHKの番組で、TKBの話をしていた。

阪神大震災、中越地震、東日本大震災、熊本地震、そして今回の能登半島地震。生きてきた中で多数の地震に遭遇した。もちろん他人事ではない。この地で生きていく以上、無関係ではいられない。料理をしてたのに、自然とテレビに吸い寄せられてしまった。

なるほど、と思わせられる知識は、ダンボールベッドの有効性。感染対策にもなり、トイレへの移動についても自然と足が向くという解説は的を射ていた。雑魚寝でヨロヨロしながらトイレへ向かう気持ちを想像するとやるせない感情に襲われる。

災害発生時には、福祉避難所にもなる予定である以前の職場にもダンボールベッドはストックされていたが、地下に置いてあり、湿気を吸っていざというときには役に立たなさそうだった。普段からの細かい配慮は必要そうだ。

そうそうTKBの話。つまりは、排泄、食、睡眠のこと。健康の3箇条は運動、栄養、睡眠なので、まぁ呼応する。

この3つが損なわれることは、普段あまり気にしていない日常に囚われることであり、ストレス度はかなり高くなる事が想像に難くない。人とあまり関わりたくない人であれば、なおさらきついだろう。

日常との断裂、昨日と今日の断裂を引き起こすのが災害のなせる大罪。

震災後に沢山の物語が紡がれている。わたくしなりに読んだり観たりしてきた。いとうせいこう『想像ラジオ』、村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』、映画では『風の電話』『飯舘村の母ちゃん』『傍ら』『いのちのかたち』『FUKUSHIMA 50』など。

そして『すずめの戸締り』は、二女と一緒に観た。多様性の時代ではうっかり物を言うと虎の尾を踏む。なにせ、時代は常にグラデーションに彩られているから。世界はグローバル化に突き進んでいると言われても厳然とムラ社会も残っているのが現実。令和の永田町にも昭和に生きている政治家がたくさんいそう。だから、どの文化に属しても違う文化の住人から矢を放たれる危険性からは逃れられない。この時代にあって、当事者でないクリエイターが創ったエンタメ作品は、格好の餌食になる可能性もあっただろう。新海誠さん、なかなかの強メンタルと想う。

わたくしにとっては、とても良かった映画。娘と観たことも影響してるのだろう、娘の目にも自分の目にも涙が溢れていた。
 昨日と今日の断裂への絶望に惑う。しかし、異界を通じて、昨日と今日、今日と明日が繋ぐ希望をちゃんと見せてくれた。

無くならない核、気候変動の脅威、いつか底をつく地下資源、ちゃんと考えると恐怖で身が竦む。たかだか5000年くらいの歴史で地球を制覇した気になっているサピエンスの行く末は、決して明るいことばかりではなさそうだ。

それでも、今日は前を向いて生きるのが日常。それしかできないから。

考えは、常にいったり来たりするが、日々是好日で生きていたい。



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