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中尊寺金色堂 特別展に行ってみたら極楽浄土だった。

極楽浄土から帰ってレポートしてくれた人は未だいないので、生きているうちに極楽浄土を見に行くことにした。

東京国立博物館の中尊寺寺金色堂展。

数年前に中尊寺を訪れた時、その豪華さに目を瞠った。金がふんだんに使われてた。けど、仏像は遠くに小さくしか見えない。

中尊寺のここが金色堂の入口
金色堂

ところが、この展示会場は、入っていきなり最新技術のデジタル画像が鎮座している。さっそくビデオが始まり、金色堂の中に入る。丁寧な説明があり最後は、仏像たちが迫ってくる。最高の臨場感。帰り際にも二度見した。
広告文に偽りなし。現代の極楽浄土体験はこれで良いかも、と思った。

金色堂と壇上の仏像をはじめとする堂内空間の8K画像データを活用した超高精細CG(8KCG)により、幅約7メートル×高さ約4メートルの大型ディスプレイ上に原寸大の金色堂を再現します。8KCGはNHKと東京国立博物館が共同で開発した超高精細なデジタルアーカイブの手法 で、まるで実物を写し取るかのように文化財を記録します。金色堂は、現地ではガラスの外から拝観するしかありませんが、本展では8KCGを使って仮想的に堂内へとご案内し、きらびやかなこの世の浄土を間近にご覧いただきます。900年間祈りがささげられてきた黄金の聖空間を体感できる、この迫力と美しさは他では得られない圧倒的な体験となることでしょう。

東京国立博物館公式ホームページより

続いて900年前の人達と同じように、仏像をじっくりと観察。

地蔵菩薩が6体。顔が小作りでプロポーションがよい。優しいお顔。首の角度が、上向き、下向き、まっすぐ前を向いてるのとちょっとずつ違う。後で調べたら、お顔がよく見えるようにとの工夫だそう。金色堂では縦に並んでいるのでそのように作られたとの解説があった。

脇侍の勢至菩薩像と観音菩薩像。見分けがつきにくい。事前学習では勢至菩薩像には水瓶が乗っているのだが、彫りの中に見つけられなかった。再学習しよう。

真ん中におわすのは阿弥陀如来さま。画像のように金ピカではなくなっているが有り難いお顔。螺髪が修行の長さを忍ばせる。「南無阿弥陀仏」、阿弥陀定印を結んでお迎えに来てくださってる。極楽浄土でお会いしたいものだが、今日お会いできたので満足。360°見られるので、後ろのお姿も拝見。これぞ、展覧会ならでは。有り難や。

そして、左右にたつ流麗な姿の増長天、持国天。邪鬼を踏みつけて忿怒顔。怖い顔だけれど、立ち姿が見えを切ってるようで恰好良い。

その他の展示も良かった。

曼荼羅図。九重の塔がすべてお経で描かれてた。これはお唱えしなくても観るだけでお経の効果がありそう、便利。脇に描かれてる絵はお経の説明の話らしい。

清衡公のお入りになった棺。ちょっと恐ろしげ。

そうだ、中尊寺建立は藤原清衡公のお考え。11世紀後半に東北地方で続いた戦乱(前九年・後三年合戦)で亡くなった生きとし生けるものの霊を敵味方の別なく慰め、「みちのく」といわれ辺境とされた東北地方に、仏国土(仏の教えによる平和な理想社会)を建設する、というものだった。それは戦乱で父や妻子を失い、骨肉の争いを余儀なくされた清衡公の非戦の決意でもあったそうだ。

その奥州藤原氏の栄華も、やがて源頼朝により滅亡させられた。

鎌倉を歌ったサザン『愛の言霊』の台詞が浮かぶ。

過去に多くの人が 愚かな者が 幾千億年前の星の光見て
戦をしたり 罪犯したなら 僕もまたそれを繰り返すのか

900年前の人たちも金色堂に上がり、阿弥陀如来さまを拝み、経文を書いて戦のない世の中を願っていたのだと思うと900年後の今がちょっとやるせなくなる。

僕たちもまたそれを繰り返すのか。

清衡公の遺志をつぎ、平和をお祈りして展示会場をあとにする。

金色堂の模型



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