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『対話7/老人の有用性について考えたい』から『ケアする惑星』

対話して考えるのいいですね。脳が刺激される。

このnote読んだら、あまり気持ちの良くない映画『PLAN75』を思いだした。安楽死が合法化された社会に、一滴の悪意が忍び込んだら恐ろしいことになる。

この記事からも、他人の尊厳を尊重することと他人の尊厳を葬り去ることが薄皮一枚で共存してることが想像できてしまう。げに恐ろしや。


小川公代氏の『ケアする惑星』『ケアの倫理とエンパワメント』をさらって心を整える。

「わたしは惑星という言葉を地球という言葉への重ね書きとして提案する。グローバリゼーションとは、同一の為替システムを地球上のいたるところに押しつけることを意味している。わたしたちは現在、電子化された資本の格子状配列のうちに、緯度線と経度線で覆われた抽象的な球体をつくりあげている。」は、ガーヤットリー・スピヴァクの言葉。

そして、プラネタリーな思考は、他者へと関心をさし向け、人間らしくあることを基盤としたものである。

ケアの価値も他者へと関心を差し向けることにあり、ここでケアとプラネットが結び合う。

福祉の言葉として代表的な「この子らを世の光に」が思い起こされる。ケアを受けるものを世界を導く道標とすることで社会が優しく穏やかなものになるという理念を示している。

ケアラーがケアすることの価値をダイレクトに訴えていることの小気味良さがある。

著者の小川公代氏は英文学研究者であり、ヴァージニア・ウルフ、ジェーン・オースティン、オスカー・ワイルドらの文学をケアの倫理の視座から読み解いている。文芸誌ではサブカルチャーも含めて語り『鬼滅の刃』や『約束のネバーランド』をテキストにして、ケアが貶められ生きづらさを抱えている人が増えている新自由主義社会に一石を投じている。

この惑星全体にケアする人を慈しむ人が増えますように、との願いを込めて。

地球を回す力は善きものを求める心。


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