樹堂骨董店へようこそ⑧
「引っ越し先はどう?慣れた?」
七緒は那胡から受け取った「栗蒸し羊羹」を切り分け皿に盛ると那胡にだした。たくさん栗が入っている。うまそうだ。
「うん。慣れたんだけど二階にへんな部屋があって、ちょっとだけ怖いんだよね」
那胡は爪楊枝で羊羹を口に入れた。上品なこしあんの甘みが口に広がる。栗の風味がほどよく残っていて美味しい。
「へえ、那胡が怖いなんてめずらしいね」
「でね、お願いがあるの」
「え…何?」
「一緒に見てほしいんだ。部屋を」
「え…」
七緒はすぐにイヤそうな顔になった