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バックトランスレーションに驚いた!

皆さんはバックトランスレーション、
あるいはリバーストランスレーションという
言葉を聞いたことはありますか?

外国語からの日本語訳を
もう一度もとの外国語に訳して
日本語訳の正確さを確かめようと
する取り組みです。

もとの訳者と
バックトランスレーションの訳者は
連絡をとってはいけない、
など条件もなかなか厳密です。

しかし、思いがけないところに
大きな落とし穴がありました!

最近ビーックリしたんです。

とある有機農法の研究会で
そろそろまた海外から先生を呼んで
講座を再開することになりました。

あ、農法といっても、
あのバイオダイナミックでは
ありません。念のため。

大変誠実な海外の先生は、
どう英語を用意したら
本来の意図が伝わる日本語に
なるだろう、と考えたようです。

その分野の古典的資料を日本語訳し、
バックトランスレーションするよう
日本チームに求めました。

最初の英日訳に
その農法の重鎮という方が
手を挙げました。

ところが…ある章題、
the age of ...agricultureを
「○○療法の年齢」と
しているではありませんか。
内容からみても
「○○療法の時代」のはずです。

あとは推して知るべし、です。

さて、これを
バックトランスレーションすると…

人力でも、年齢をage以外に
訳すのは難しいです。

機械翻訳なら、何の迷いもなく
ageとするでしょう。

このようにして???な訳が
英語に戻ったときに
「よい日本語だったんだろう」
となる怪奇現象が起こります。

そもそもこうした
バックトランスレーションは
英語、独語、仏語のように
似通った言語の間で、
バーバルな情報を確認するのに
有効な方法です。

日本でも群馬、栃木、茨城の
間ならうまくいくでしょう。

でも…!

日本語と英語のように
構造、語の意味もずいぶん
異なる言語の間では危険です。

さあどうしたものでしょう。

私がお勧めしたのは、
その分野の専門家で
通訳・翻訳を担当するには及ばないが、
まぁ外国語もなかなかできる人に
英語と日本語訳両方読んで
評価してもらうことです。

その人が
「おおすごい。
なるほどそういうことか。
こんな訳は自分にはできないが
素晴らしい。勉強になった。」
という評価がもらえれば
OKでしょう。

仲間内で訳者同士が連絡するのは…
なんてことを疑うようでは
もう別の問題です。

①専門家であること、
②英語が「できる」(?)こと
③仕事として通訳、翻訳ができること
これら3つはすべてそれぞれに
訓練に値する貴いことです。

ところが、①専門家で
②英語がしゃべれれば
③通訳、翻訳もできると思う人が
少なくありません。

その思い込みが、
せっかくの専門を
損なうことがありませんように。

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