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$ジジイの文房具


$解説
老若男女を問わず清々しく暮らすための片づけエッセイ『ジジイの片づけ』、日々の活力源である食と料理について綴った『ジジイの台所 (だいどこ) 』に続く、おなじみの「ジジイ」シリーズ第3弾!

長い人生、たえずそばにあるペンや紙などの文房具。
子どもの頃に使っていた鉛筆や消しゴム、世界の国々に思いを馳せた地球儀、母親の裁縫箱にあった分度器、大人になり奮発して買った万年筆──著者の思い出を紐解きながら、私たちの身の周りにたたずむ文房具の魅力と“手書き”の喜びを綴るイラストエッセイ。
文房具と過ごす時間が愛おしくなる、18編+15のコラムを多数のイラストとともに掲載。

【目次より】
万年筆に思いを託す
ヴィンテージの万年筆の彼方
地球儀のいざない
ハサミに挟まる
文房四宝 (ぶんぼうしほう)
シャープペンシルは永遠不滅である
消しゴムに滅びゆく美学を見た
書斎の歴史アーカイブ
色褪せた分度器
佐野洋子さんのボールペン
ガラスペンに夢を託す
電子辞書にすがる
軽井沢の別荘と巻尺
鉛筆削りにすがる
パリに恋して
夢見る手帳
枯れないジジイの愛
小さな文具店を見つけよう

【本書「まえがき」より】
旅先のショーケースや陳列棚で、あるいはホテルでスケッチ帳に没頭する机の上で、さらに移動中の鞄のポケットで、ただ静かに佇みながら文房具は新たな世界へといざなう。
そして今日も気に入ったガラスペンを手に取り、何かを書き記さずにはいられない。
文房具は「沈黙は金、雄弁は銀」そのものを教えてくれる。

【著者プロフィール】
沢野ひとし (さわのひとし)
イラストレーター・エッセイスト・絵本作家。1944年愛知県生まれ。児童書出版社勤務を経て、書評誌『本の雑誌』創刊時の1976年より表紙と本文イラストを担当。山岳をテーマにしたイラストエッセイで人気を博す。1991年、第22回 講談社出版文化賞 さしえ賞受賞。著書に『鳥のいる空』(集英社)、『さわの文具店』(小学館)、『中国銀河鉄道の旅』(本の雑誌社)、『ジジイの片づけ』『ジジイの台所 (だいどこ) 』(集英社クリエイティブ)、『人生のことはすべて山に学んだ』(角川文庫)、『真夏の刺身弁当 旅は道連れ世は情け』(産業編集センター)など多数。

$読者レビューより引用・編集
著者の「ジジイ」シリーズ3冊目。文房具雑誌やyoutubeなどで見かける「この文房具のここがお勧め」という内容とは全く切り口が異なっている。
一言で言えば「文具にまつわるエッセイ集」であり、少年時代からの何気ない思い出話を紹介しつつ、文房具への愛に、時とともに消えていったものへの追憶やそこはかとない悲しみが絡み合う。
とはいえ、それがユーモラスな(一見拙く見えるが、全くそうではない!)挿絵と軽やかな筆致で描かれていくので、読後感がとてもいい。男性によくある高級な万年筆愛から始まって、最後は奥様からプレゼントされたペンケースの話で締めくくられる。私には全く未知の中国の文具事情についての記述も面白い。
私が育った地方都市においては、町の文具店が次々と姿を消してしまい、ホームセンターの画一的品揃えの文具コーナーに取って代わられた。個性的な文具を手にとって物色できる楽しみは、大都会やその周辺に限られるであろう。その代わり、海外の文房具も簡単にネットで手に入れられる時代になった。著者が紹介しているようなドイツ製の鉛筆削り(たとえ全く同じものでなくとも)だって簡単に買えてしまう。知ってしまうと欲しいと思うのが文具好き。値段の張らないものでも、塵も積もれば山となる、というわけで、これも専門雑誌やYouTube動画に劣らず、文房具愛好家の懐にはなかなか危険な本。
モンブランかペリカンの高級万年筆で字を書いてみたいという長年封印してきた欲望が、この本のおかげでまた頭をもたげてきた。怖い、怖い ...

$出版社より






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