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$枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書) 山本 淳子 (著) 形式: Kindle版

$枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書)
Kindle版
山本 淳子 (著) 



$解説
藤原道長が恐れ、紫式部を苛立たせた書。それが随筆の傑作「枕草子」。権勢を極めてなお道長はなぜこの書を潰さなかったのか。冒頭「春はあけぼの」に秘められた清少納言の思いとは? あらゆる謎を解き明かす、全く新しい「枕草子」論。

$読者レビューより引用・編集
田辺聖子さんの古典(現代訳)小説が大好きで、源氏、枕草子関係の本は他の作者のものもつい買ってしまう。だいたいが「私の源氏物語」的なもので著者がどう読んだか、書かれているものが多くてちょっと食傷しつつあったのですが、これでまた興味深々になる。
定子中宮が当時としてはどれほど常識破りの才気あふれる女性であったか(まだ十代なのに)、清少納言の才能は定子中宮のリードがなければ決して花開くことがなかったとか。
「香炉峰の雪」ですだれを上げるのは高貴な女性としては驚くようなことだったこと。
実家が火事で焼けてから定子中宮と女房たちがどこにどのような状態で住んでいたか。
清少納言の元夫は実は政治がらみで彼女と疎遠になるしかなかった。
貴公子たちから(半ば意地悪で)おくられた唐詩に対して清少納言が既成の
和歌で答えたことがなぜ「見事」な回答だったのか。
「女房」の社会的地位は特異なものであったこと。
タイトルの清少納言の「たくらみ」は気をひくためのタイトルで
これは清少納言の定子中宮と一条天皇、その子供たちへの精一杯の
鎮魂歌。たくらみ的なところは、当時最大の権力者である藤原道長を
慮ってあちこちでぼやかしたりしているところ。
最後に「平安人の心で読む。。」と同じ寝殿造りが絵で解説されているので
物語の場面が手に取るようにわかるのがよかった。

商品の説明

メディア掲載レビューほか

定子への鎮魂の書

10月22日は時代祭。古代から近代まで各時代の著名人に扮した市民が、京都御所から平安神宮まで歩く。清少納言と紫式部が同じ車に乗る。「ニコニコしてはるけど、ほんとは仲が悪るう二人やて」という声が見物客から聞こえる。

紫式部が日記のなかで清少納言の悪口を書いている。清少納言は嫌な女だったのか、それとも紫式部の嫉妬か。

山本淳子『枕草子のたくらみ』は意外な真相を明らかにする。『枕草子』の文章と、当時の宮中の状況とを照らし合わせ、清少納言の意図を読み解く本である。まるでミステリー小説のように興奮する。江川卓の『謎とき「罪と罰」』や、ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』を連想した。

『枕草子』は清少納言が一条天皇の妻、定子に仕えていたころのエッセイである。定子の周囲の優雅で楽しい日々が描かれている。しかし史実は逆だ。定子は兄たちが起こした政治スキャンダルに巻き込まれ、没落と出家、そして復帰と早世という波乱に満ちた生涯を送る。

このギャップは何なのか?

『枕草子』は清少納言の身辺雑記ではなく、定子ひとりのために書かれたのだという。それも定子の存命中から没後まで長期にわたり書き継がれたと推測される。定子存命中は定子を慰め喜ばせるために、没後は彼女を讃えるために書かれた。そのために清少納言は、道化のように失敗してみせもした。

定子の一族にとって政敵である藤原道長は、なぜ『枕草子』を歴史から消し去ろうとしなかったのか。それは定子の怨霊を恐れたからだろう。『枕草子』は鎮魂の書でもあるのだ。

評者:永江朗

(週刊朝日 掲載)

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B07HNWV6HV

  • 出版社 ‏ : ‎ 朝日新聞出版 (2017/4/10)

  • 発売日 ‏ : ‎ 2017/4/10

  • 言語 ‏ : ‎ 日本語

  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 13199 KB

  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効

  • X-Ray ‏ : ‎ 有効

  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません

  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで

  • 本の長さ ‏ : ‎ 329ページ

著者について

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山本 淳子

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清 少納言(せい しょうなごん、旧字体淸 少納󠄁言康保3年頃〈966年頃〉 - 万寿2年頃〈1025年頃〉)は、平安時代中期の女房作家歌人随筆枕草子』は平安文学の代表作の一つ。歌人としては中古三十六歌仙、そして女房三十六歌仙の一人でもある。







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