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【開催報告】海外文芸室 第一回 (9/24)

ハシビロコウ

図書館のある一室で輪になって座る7人の話題は『五月 その他の短篇』です。スコットランド生まれの作家アリ・スミス。その12の短編から、この日は3つを取り上げました。『生きるということ』『五月』『スコットランドのラブソング』。それぞれのメンバーが、これらの同じ作品を読んできました。そうして共に語ることができることは。

『生きるということ』7人で話す中で、あることがわかってきました。登場人物の二人のそれぞれの性別、それぞれの生死について。それぞれのメンバーで、その解釈が異なっていたのです。バラバラに散らばっていた読みは、それぞれの読みの下敷きになっているテクストそれ自体についての言及によって、次第にその位置がはっきりしてきました。 どちらが絶対というわけではなく、それぞれの主張に膨らみが生まれました。

この作品、原題は“being quick “ この一見大胆とも取れる邦訳について、7人は同じ解釈へと辿り着きました。(解釈の内容についてはまた今度書こうと思います。もしかしたら別のメンバーが書いてくれるかも。)

7人で同じテクストを読んで、そのことを話題に上げるとき、それはどんな仕方で、いったいどんなことができるのでしょう。

私は、テクストを読むことそれ自体に対して、まだまだできることがたくさんある気がしています。哲学めいた引用で作品の断片をくるんで、解釈としてしまうより前に。

そのことに7人で、7人で読むことで近づけないかなぁ、近づけるんじゃないかなぁと思います。

(続く)

ウーパールーパー

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