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萩弾丸一人旅

これは、私が立ててしまった脳筋弾丸萩旅行の日記みたいなものだ。もしかしたら、この先萩旅行をするかもしれないという人のために、注意しておいた方がいいことを最後にまとめている。こんな駄文でも、誰かの役に立てるなら嬉しい。

唐突に思いついた萩への一人旅

月曜の昼過ぎ。空きコマで課題をこなしていたら、ふと、萩に行きたくなった。とりあえず、行きたいところをリストアップする。

・松陰神社
・明倫学舎
・萩博物館
・高杉晋作誕生地
・玉木文之進旧宅
・吉田松陰の墓
・吉田松陰産湯の井戸

萩に行ったことのある方は「なんだ、2日間の旅程か?」と思うだろう。しかし、これは一日の、しかも6時間で巡りきる旅程だ。というのも、私自身、まだ学生である上、誕生日にもらった諭吉二人を使っての旅行だ。流石に、泊りがけは躊躇った。そこで「一日で巡りきってみようじゃないか!」と思ったのである。

まず、時間を決めて動かなければならないと思った私は、Googleマップを駆使して、旅行計画を立てた。それが、下の写真だ。

実際に自身の手帳に書いたもの

この旅行の恐ろしいことは、ほとんどを徒歩で済ませていることだ。萩にはレンタサイクルができる場所がいくつかある。しかし、その料金ですら惜しい私は、ほとんどすべてを徒歩で済ませた。
この恐ろしい旅行計画、いくら何でも成功するわけがないだろうと思うかもしれない。しかし、行動してみなければわからない、と思った私は、さっそく計画を行動に移したのだ。

バスに乗っていざ萩へ!

インスタ用に撮った写真

萩へのバスは新山口駅から出ている。通常は大人1人、片道2090円なのだが、現在は1600円に割引がされている。2024年3月31日までだそうだ。もし、萩へ行きたい人は今がチャンスなのかもしれない。
新山口駅の北口を降りてすぐのところにバスの待合室がある。そこのチケット売り場で片道切符を買い、10時15分発のバスへと乗り込んだ。

萩までは一時間程。ここで音楽を聴きながら車窓風景を楽しむのも一興だが、三半規管が屈強な私は一坂太郎の『高杉晋作』を読んでいた。目的地のリストアップの時点でお気づきの方も多いだろうが、今回の旅は「高杉晋作と吉田松陰」がテーマだ。そしてこの旅は、そんな2人を推している1人の(FGO)オタクの旅である。

午前中は「高杉晋作」の旅

11時15分、萩・明倫センターに到着。明倫学舎に目もくれず、円政寺へと走り出す。伊藤博文は高杉晋作を「動けば雷電の如く……」と評したが、その時の私もそうだったかもしれない。一見、全然運動をしていなさそうな女子が50m8.5秒の足を活かして萩の町を走り出す。そして、少し迷子になりながらも円政寺に辿り着いた。

円政寺の門

着いて思ったことがある。毛利家の主張が強い。流石に驚いた。
ちなみに、入場料200円である。萩の城下町の地図が貰えるため、このあたりの松下村塾生が好きな人にはおすすめ。

奥の方に進んでいくと、目当てのアレが飾られていた。

円政寺の天狗

そう、高杉晋作が物恐れしないように躾ける時に使われた天狗の面だ。これが見たかった。人によってはおどろおどろしく見えるのかもしれないが、好奇心の塊に育ってしまった私はむしろワクワクした。こんなに大きな天狗の面を見ることは滅多にないからだろうか。

願い事を済ませた後に、更に奥へと進んでいく。今度は木馬。高杉晋作と伊藤博文が遊んだあの木馬だ。

木の状態に歴史を感じる木馬

思っていたよりも小さかった。いや、いつも見ている木馬が大きかったのかもしれないが。どうやって遊んでいたのか、二人で跨ったりしたのだろうかと想像する。どうしても、高杉が伊藤に馬を引く従者役をさせている様子しか思い浮かべられなかった。なぜだ。

御朱印集めが趣味である私は、円政寺の御朱印を頂こうと、御朱印を書いていただける場所へと進む。そして、住職さんから色々と萩の文化財の保護の仕方が生んだ問題を教えていただいた。住職さん曰く、世界遺産になっている家屋の保護に資金がかかるため、若者が新しく住むということがないそうだ。その上、その保護に補助金が下りない。どうにかこの問題を解決できないだろうか。まだまだ未熟な私には何も思いつかなかった。

住職さんに御礼を伝え、足早に円政寺を去る。私に残された時間は短いのだ。ゆっくり歩いている暇はない。推しの家はすぐそこである。しかし、道中にと出会ってしまった。

高杉晋作像

そう、高杉晋作(像)だ。凛々しい姿に思わず見とれてしまいそうになる。ぱしゃりと写真を一枚撮った後「今回はかっこいい写真を撮るだけで勘弁してください!」と心の中で呟きながら、高杉晋作の誕生地へと向かった。

推し(高杉晋作の家)

いざ、推しの家に凸!である。(※人が移り込んでしまっていたため、ペイント機能で消させていただいた)
ちなみに来るのは2回目。1回目は銀魂の高杉晋助を推していた時に来た。入場料は大人が100円である。

高杉晋作の写真が飾られた間

先に案内されたのは家に入って右。上には彼の生涯がずらりと並んでいた。この家で生まれ育ち、この家から松下村塾へと夜な夜な通っていたことを思うと、当時の生活が思い浮かぶような気がする。

初湯の井戸

敷地のあちこちに歌碑などが残っているため、それを楽しむのもまた一興だろう。

さあ、滞在時間なんと10分。本当はもっとゆっくりしたかったが、そうもいかない。これまた足早にわたしは目的地へと向かった。

萩博物館入口

萩博物館に到着。高杉晋作の遺品が多く展示されており、彼の生涯を詳しく知ることができる。入場料は大人520円、高校生・大学生310円。ちなみに、萩博物館の前に明倫学舎に行っていれば、半券提示で萩博物館の入場料が割引。逆に萩博物館の後に明倫学舎に行っても明倫学舎で割引がされる。

入場してすぐ、萩市に関わる人物のパンフレット(1枚の紙だが)がずらりと並んでいた。思わぬ資料に、ついつい双璧と松陰先生のパンフレットを手に取ってしまう。想像以上に多くの人物が紹介されているので、ぜひ推しを手に取ってみてほしい。

奥に進むと、待ち受けるは高杉晋作資料室。推しのことをたくさん学べる機会だ。一つ一つをしっかりと目に焼き付けていく。特に印象的だったのは、やはり甲冑。これを着て奇兵隊を率いていたということを容易に想像することができた。そしてキャプションが面白い。「150年前の夏、晋作の汗をたっぷり吸い込んだ……」面白すぎてその場で笑い転げるかと思った。

今度は、歴史展示室へ。リュックの双璧バッジを見られたからなのか、学芸員さんになぜ萩の町が世界遺産となったかを詳しく説明していただけた。一つ一つをじっくり見て回る余裕があまりない状態だったのでとてもありがたかった。
この展示室で一番感じたのは松下村塾生の身分差だ。高杉のように身分が高い者は城下町に近く、逆に伊藤博文のように身分が低い者は町のはずれに住んでいたことがよくわかる。
ちなみに順路には「吉田松陰年譜」の紙が置かれている。ご自由にお持ちください、とのことだったので、ありがたく1枚いただいた。

グッズショップでお世話になった先生へのお土産と自分へのプレゼントを買った後、再び私は萩の町を歩く。どこまでかというと、松下村塾までだ。

午後からは「吉田松陰」の旅

道中の看板

推しが夜な夜な歩いたかもしれない道、自分が歩かなくてどうするんだ!!自転車に甘えるな!!当時は徒歩だぞ!!と、心の中で叫びつつ黙々と歩く。ちなみに30分ぐらいかかりました。

途中で桂さんが助けてくれた


松陰神社の鳥居

やっとのことで、松陰神社に到着。思った通り観光客が多く、若者は私一人ぐらいだ。
松下村塾に登校するつもりで、元気よく境内を進む。

松下村塾の説明看板
松下村塾の看板
ずらりと並ぶ門下生+αと松陰先生

ここで討論が白熱していたのかと思うとなんだかわくわくしてくる。高杉、どれだけ人の言うこと聞かなかったのかな、久坂が褒められるところをどれだけ見たのかな、と色々想像してしまった。


おみくじ

神社での参拝を終えた後、となりにあったおみくじを引く。実はこのおみくじ、普通のおみくじとは違って松陰先生のありがたいお言葉が書かれているのだ。一番注目したかったのはやはり学問。「雑念を捨て目標をたてよ」とのこと。まさにその通り過ぎて、完全に見抜かれているような気がした。しかも、この後に失物の結果が当たってしまうのだ。


昼ご飯は晋作うどん
おやつに松陰だんご

昼ご飯を済ませ、至誠館で松陰先生の勉強をした後に待ち受けるは山登り。そう、松陰神社の裏手の山を登ったのだ。これもまた、推しが登ったのに自分が楽してどうする!!と謎のストイックさを発揮して登り始めた。


玉木文之進の家

松陰先生を教育した玉木文之進の家。相当なスパルタ教育だったそうで、松陰先生はよく殴られていたとか。


松陰先生と金子くん

登り切ったら、そこには松陰先生と金子重之助の姿が。ペリーの船へと乗り込んでいったこの二人。後に二人とも投獄されるのだが、武士である松陰先生と商人の子である金子くんは違う牢に入れられた。松陰先生は野山獄に、金子くんは岩倉獄に。松陰先生は無事に出獄を許され杉家へと幽閉になった。しかし、金子くんは劣悪な環境である岩倉獄の中で獄中死してしまう。松陰先生は一体何を思ったのだろうか。
二人が見つめる先にはこんな景色が広がっていた。


萩の町を見下ろせる


気を取り直して、松陰先生ゆかりの地を巡る。



松陰先生誕生の地


松陰先生産湯の井戸

すぐそこに松陰先生の誕生地が。周りが森だから、夏に行く方は虫よけスプレーが必須かもしれない。
こんな長閑な場所で育ったのかと思うと、感慨深い。


推しが草庵を立てた場所

ここが、晋作が草庵を立てた場所か……!とちょっと感動。一番かわいがっていた妹を何度か連れてきたとかきてないとか。記憶は曖昧だが、ここで亡き松陰先生へ思いを馳せたのは確かだろう。

すぐそこには松陰先生やその家族、晋作と久坂のお墓がある。


墓所

もし「あ、お線香とかどうしよう」と思っても大丈夫。松陰先生のお墓の傍にお線香と着火剤が置いてある。お賽銭を払えるようになっていたので、そこにお賽銭を入れた後にありがたく使った。
流石に、全員にお線香を焚くのは大変なので、松陰先生と晋作、久坂に焼香した。

松陰神社まで下ると、丁度「萩循環まぁーるバス」の「松陰先生」が迎えに来た。ちなみに、交通系ICカード使えます。大人1人100円で乗れます。西回りは「晋作くん」です。地域から愛される二人。

車内では運転手さんがおばあちゃんと山口弁全開で雑談していた。なんだか温かい車内だった。

市役所で降りると、横断歩道を渡って明倫学舎へ。


明倫学舎入口

一号館は無料で見学でき、昔の校舎がそのまま残されている。二号館は有料。幕末維新の勉強ができる。萩博物館の半券を持っていたので、250円に割引。
受付のすぐそばで松陰先生に「あなたはどの志士と似ているか」を診断してもらった。狙いはもちろん高杉晋作。晋作ならこう答える!と推測しながら答えていく。しかし、最後の質問でつい自分が思っていることを答えてしまったがために、結果は小田村伊之助に。無料でできるので、ぜひやってみてほしい。

順路を辿っていくと、VR体験コーナーがあった。100円で松下村塾での討論、功山寺挙兵、長州ファイブが体験できる。お得過ぎる。双璧が松陰先生の考えを簡単に教えてくれたり、晋作の挙兵を目の前で見れたり……
また、そこの学芸員さんと色々話すことができた。明倫学舎の歴史や、萩の町のこと、周りにいた偉人の子孫のことなど、いろいろなことを話した。一番驚かれたことは、同級生に毛利家の子孫がいたこと。マジです。

1つ隣の部屋には松下村塾の討論を見ることができる。晋作ファンが座るなら多分真ん中少し右。晋作が一心にあなたのことを見つめてくれるでしょう。


幻の長州ファイブの六人目になれる椅子

突き当りにあったこの撮影コーナー。勿論、この写真を撮った後にスマホをタイマーモードにして、私が座っている写真を撮った。

当たる松陰先生の予言と三人からの激励(?)

明倫学舎の見学を終え、グッズを買い、バスセンターへと移動。バスに乗り込むと、あることに気づいた。私はリュックに十朋亭維新館で買った晋作と久坂の双璧バッジを付けていたのだが、晋作だけいなくなってしまったのだ。バクバクと鳴る心臓。どこにやってしまったのか、どこで落としたのかと記憶をさかのぼっていく。長州ファイブの椅子を撮った時はあった。なら、明倫学舎だろうか。あれこれ考えている間に、新山口駅についた。仕方がない、また今度維新館に行ったときに買うか、と思いつつ帰宅。

さて、荷物整理をしなければ、と戦利品(グッズやらパンフレットやら)を広げている最中、リュックの奥底に、銀色が光った。まさか、と思って取り上げてみれば、そこには晋作の缶バッジが。泣いた。萩に置き去りにしてしまっていなかったことへの安堵感。

戦利品を見返したり、写真の整理をしている最中、ふとおみくじに目が留まる。そう、失物のところに「手近にあり、見えず」と書いてあった中吉のおみくじだ。本当に手近にあって、整理するまで気づかなかった。

晋作缶バッジは、今も私のリュックに久坂と二人で並んでいる。もしかしたら、三人からの「これからも気を引き締めて勉学に励みなさい」という激励を体現するために、晋作がその役を買って出たのかもしれない。何とも彼らしい気がする。

色々ハプニングはあったが、充実した弾丸旅行になった。私自身も勉学への志を持ち直し、TOEIC900点やIELTS6.5に向けて、日々精進している。

これから萩旅行を考える人へ

この旅行記を見て「なるほど、こんなに無茶しても上手くいくのか!」と思うかもしれないが、おすすめはしない。私は足と体力だけは自信がある若者だったから、成せたことだ。もしも、体力に自信がない人、疲れやすい人は、レンタサイクルを利用することを強く推奨する。また、私が利用した周遊バスもおすすめだ。
のんびり街並みを満喫したい人は城下町を巡るコースを組み、ガッツリ歴史巡りをしたい人は、私のように人物を絞った方がいい。計画なしに回ろうとすると、どこに行くか迷ってしまうかもしれない。
また、明倫学舎の学芸員さん曰く、初めに明倫学舎で萩のことを勉強した方が、目的地を決めやすいとのこと。

次に、持ち物について。もしも、墓参りもしたいという人は、虫よけスプレーがある方がいい。一応持ってきておいたので、虫に刺されることはなかった。また、交通系ICカードや学生は学生証があるといいだろう。前者は周遊バスで使用可能であり、後者はチケットを買うときの身分証明になる。

歴史好きな人にはもちろん、そうでない人にも、萩という町は時代を感じる町並みを楽しめるようになっている。おしゃれなカフェもいくつか見受けられたので、ぜひ、一度萩に足を運んでみてほしい。


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