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DAOとは?ブロックチェーン・web3による価値の流動性の革命によって起こる大変革パート③

web3に関連し、DAO(Decentralized Autonomous Organization )というワードも昨今、バズワードになりつつあります。

日本語にすると、自律分散型組織という訳になります。
 DAOの特徴を箇条書きにすると

  • リーダーやマネージャーのような管理者が存在しない非中央集権的組織

  • 世界中の志を同じくする人達が自律的に組織を運営し、共同で組織の所有や管理を行う組織

  • オープンソースで透明性が高く、ネットにアクセスできれば誰でも参加できる

となります。

 前回は、株式会社はトークンエコノミーの劣化版であるという内容の記事を書きました。

 資本主義を俯瞰して見た場合の全体的なお話でした。

今度は、会社という組織の内部が、web3による「価値の流動性革命」によって、どのように変革されるかを予想します。

現状の株式会社の内部の報酬構造

 例えば、日本の株式会社の場合、会社内の給与体系はどうなっているでしょうか?

 会社によって給与体系はまちまちですが、多くの会社では下記のような指標で社員の基本給が決まっている事が多いです。

  • 役職

  • 年齢

  • 保有資格

  • 過去のキャリア

 会社は一種の共同体ですので、理想を言えば、
「この人のおかげで、会社の業績は良くなる」
という人がより多くの給料をもらえるような給与体系が理想です。

 逆に、
「あの人は偉そうにしているだけで、何も仕事しない。あんな奴に高い給料が支払われているのは許せない」
このような人は給料が低ければ、周りの不満は解消できますよね。

 しかし、その価値を例えば、人事部の人達が第三者としてその給与を査定することは非常に難しいですね。

 ここで、前回の記事に書いた事を思い出してほしいのですが、

web3による価値の流動性革命で、株式会社は株をトークン化することで、より本来の価値を100%により近い状態まで反映できるという話を書きました。

ブロックチェーンの技術を使えば、実はそれと同じような事を会社内の一人一人の社員に応用が可能になります。

 もちろんweb3のようにパブリックブロックチェーンに接続するには、少し大袈裟なので、会社内にクローズドなコンソーシアムブロックチェーンを導入することはそれほど難しい事ではありません。

 構築した社内ブロックチェーンを利用して、例えば、社内の共通トークンを発行します。それを毎月、投票権替わりにして、一人一人の社員に平等に分配します。

 そして、社員一人一人は、配られたトークンを自分以外の社員に分配します。

 このトークンは一種の投票券ですので、例えば一人100トークンあるとすれば、あなたは、ある月はAさんに53.55トークン、Bさんに27.22トークン、残りをCさんに、Dさんはゼロというような自由で流動的な分配をすることができます。

 そして、例えば、実際の給与は50%が固定給として従来のような給与体系を維持し、残りの50%を獲得したトークンの量で分配するとします。

 このような人事システムを構築すれば、より一人一人の働きぶりや成果に応じた給与システムを導入することができますね。

 また、給与だけでなく、役職を決める事なども、こういったトークンを利用した投票を活用することができますね。

 例えば、とても支配的な上にマネジメント能力の低いリーダーがいれば、これは組織全体としての生産性は下がってしまい、結果として会社の価値を貶めます。

 旧来の人事の仕組みでは、こういったリーダーが一部の人事権を持つ会社の役員などのお気に入りの社員だったりすると、ずっとそのポジションに居座る事が可能でした。

 しかし、ブロックチェーンを導入した人事を採用すれば、本来リーダーにするような価値の無い人材が、場違いなポジションに居座り続けるような悲劇は、回避することが可能になるでしょう。

 ブロックチェーンにより、価値の流動性が高まる事によって、社内の価値が流れるべきところに流れていくようになるのです。

実は、上記の例のように、実際に社内ブロックチェーンを構築して、社内トークンを発行し似たような実践をしている会社はが日本国内にも出始めています。

 使い方はそれぞれの会社独自ですが、こういった新しい技術を導入している会社は、会社内での価値の流動性が上がり、より新陳代謝が良くなり、活性化されるでしょう。

 当然のことながら、会社全体の生産性が高くなっていきますので、外部の投資家から見ても、時間経過とともに必ず投資価値の高い会社となるはずですね。

会社内の価値の流動性の向上は、社会全体の流動的の向上につながる

先ほどの例のように、社内における価値の流動性が高い企業は、どんどん企業価値を向上させていきます。

 逆に、従来のような人事・給与システムで、年功序列・一律給与などに固執した価値の流動性が低い会社は、相対的にどんどん価値を下げていきます。

 今後生き残る事が徐々に難しくなっていき、最終的に淘汰されていくことが容易に想像できますね。

つまり、社内における価値の流動性が高まると、次第にその会社を取り巻く環境における価値の流動性も高め、結果として社会全体の新陳代謝が上がっていく事になるのです。

 古いやり方に固執した会社は、どんどん置いて行かれます。
今はまだ、「ブロックチェーンなんてよくわからない。うちは今のやり方でうまくいっているから、導入する必要ない」という会社がほとんどでしょう。

 しかし、真っ先に訪れるのは、人材不足の問題になります。こういった新しいテクノロジーに真っ先に反応するのは、若者です。

 これからの若者が、現段階では仮にうまくいっている会社でも、風通しの悪い人事の古い伝統に縛られた会社に就職したいと思うでしょうか?

 また、今すでに会社に所属している優秀な社員達も、実力を正当に評価される組織に移りたいと思っているかもしれません。優秀な社員程、どんどん古い組織からいなくなっていく可能性が高まります。

 人事においても、より価値の高い会社に人が集まるようになります。これは「人材の流動性」と言ってもいいでしょう。

 人材の流動性が上がってくると、優秀な人材を一つの会社に留まらせておくことが、だんだん難しくなってくるでしょう。

 優秀な人は、複数の組織を掛け持ちして、それぞれから高い報酬を貰うような未来に近づいていくでしょう。

 人材の流動性が上がると、そもそも「正社員」とか「副業」などという概念は無くなっていくでしょう。

 また、ブロックチェーンにより、報酬が流動的に支払われれるため、就業時間や拘束時間という概念もなくなります。 

 社会全体がこのような変革を迎えた頃には、「ブラック企業」なる物は、その言葉そのものが、完全に忘れ去れた世界になるでしょう。

 もはや、「日本昔話」的な存在になるはずです。

経営者すらも必要の無くなる世界 =  DAO

ある共同体が、その組織全体の意思決定をする際に、
 「中にいる全員の意見を一つ一つ拾い上げて、いくつかの選択肢をピックアップし、さらにその中の一つを投票で選ぶ。」

 このような事を毎回行っていたら、一つの意思決定をするたびに、全員が集まり、「ああでもない、こうでもない」という議論を交わし、恐ろしい程に大変非効率です。

これまでの会社という組織は、この問題を避けるために、全体を小さい専門部署や係に分け、その中に一人の長を立てて、意思決定はその長が代表して行うという方法をとってきました。

 より全体にかかわるような、大きな意思決定は、ピラミッド型になった人事構造の、より高位にいる立場の人が、最終決済をするという方法です。

 なぜなら、ビジネスにおいて、スピードは最重要項目だからです。どれだけ正しい選択をしても、スピードが遅いと全てが台無しになるからですね。

 会社に限った話ではありません。競争が付きまとう世界では、常にこのピラミッド型の組織構造は、意思決定において当然のものと認識されてきました。

 しかし、このピラミッド型の組織構造は、多大な副作用を持っています。

権力が集中しすぎると、たった一人の人間の間違いで、共同体全体が存亡の危機に陥る事があるからです。

 さらに人間は必ずだれでも、間違いを犯します。さらに、権力は必ず人を腐敗します。

 プーチン大統領が引き起こしているウクライナ侵攻は、まさにこの最悪の例でしょう。

 人類は、長年この問題に向き合ってきました。しかし、これまでの世界には、この大きな問題を解決する方法を持っていませんでした。

 しかし、すでにこの記事に書いたように、今後はこのような問題がこの世の中から消えてなくなる可能性があります。

情報の流動性・価値の流動性により、組織のピラミッド構造は不要になる

 これまでの世界がピラミッド型の組織に頼らざるを得なかった理由は、意思決定にかかる時間と労力でした。

 もし、意思決定が、その共同体に所属する全員の意見を、100%忠実に、しかも瞬時にできるようになれば、これまでのピラミッド型の組織構造はそもそも必要なくなるのです。

 例えば、一人一人の意見といえど、これまでの世界では、賛成か反対かの二つの選択ししかありませんでした。

 しかし、ブロックチェーンの世界では、「私は45%賛成だけど、55%反対」という解析度で、一人一人の意見を集約することができます。

 さらに言えば、全員が全員1票ずつという平等な投票権にする必要もありません。

 会社で言えば、「この人は会社にとってとても重要な人物である」という人の投票権を、「あいつはいつも会社に迷惑をかけている」という人よりも大きくすることも可能です。もちろんその分配を決めるのも、全体の投票で決めればいいのです。

 意思決定の目的は、その集団全体が最大の利益を生み出す事です。

このような意思決定が、瞬時にコストをかけずにできるようになれば、まさに理想の組織構造となるのではないでしょうか。

 このように、ブロックチェーンが十分に浸透した世の中には、意思決定のメカニズム構造をきちんと作っていれば、これまで意思決定のピラミッドの頂点にいた「経営者」というものが必要なくなるのです。

 私は、これが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)= 分散型自律組織であると考えています。

 すでに、web3の世界では、実証実験のように、あらゆるプロジェクトがDAOにより運営され始めています。

 ただし、web3の世界においても、組織の完全なDAO化には、まだまだたくさんの課題があります。

 今後様々な実証事件を繰り返し、組織全体がより良い意思決定をできるようになるまでには、もう少し時間がかかるでしょう。

”おまけ”すでにほぼ完全にDAO化している組織とは

実は、世の中には、すでにほぼ完全なるDAO化している組織が存在します。

 それが「ビットコイン」なのです。



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