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【シリーズ第17回:36歳でアメリカへ移住した女の話】
このストーリーは、
「音楽が暮らしに溶け込んだ町で暮らした~い!!」
と言って、36歳でシカゴへ移り住んだ女の話だ。
前回の話はこちら↓
運命の彼を怒らせてしまった私は、しばらくクラブ通いをお休みすることにした。
まずは、ストーカー女の汚名を晴らさねばならぬ。
「私はあなたのことをあきらめてますよ~」
と気付いてもらうためにも、今後、シカゴで楽しく音楽を聞くためにも、ここはぐっと我慢しよう。
クラブ通いに代わりに、私が始めたことは、アパート探しだ。
どうやら私は、部屋を貸してくれていた友人夫妻に迷惑をかけていたらしい。
ひとり暮らしが長かった私にとって、夜遊びは当たり前だったけれど、ご夫妻には、心配をかけていたようだ。
夫婦会議の末、私に出て行ってもらおうという結論に達したそうだ。
要するに、追い出されたわけである。
事故を起こせば、ご夫婦に迷惑がかかる・・・ということなど、ひとかけらも考えていなかった。
本気で反省した。
この件は、私の人生の”申し訳ないリスト”の中でも、かなり上位に入る。
さて、私がアパート探しを開始すると、友人は、ダウンタウンの西に位置する、オークパーク市を勧めてくれた。
オークパークは建築家のフランク・ロイド・ライトの自宅や、作家のヘミング・ウェイの生家があり、昔のたたずまいを残した、静かで落ち着きのある美しい街だ。
ダウンタウンへは、ハイウェイ(I-290)で10分。
エル:シカゴ市内を網羅する高架鉄道と地下鉄も、ブルーラインとグリーンラインが通っていて、シカゴ市内へのアクセスはバッチリ。
![](https://assets.st-note.com/img/1669423484453-gfR2Wtearw.png)
ただひとつ、ブルーラインよりも南側は治安が悪いので、必ず北側で探すようにと友人に念を押された。
ちょうど学校が春休みに入ったので、毎日、アパート探しに専念した。
希望は、床がフローリングで、明るく、風通しの良い、最上階の部屋。
とはいえ、そんな条件のいい物件は、そう簡単には見つからない。
アパート探し3日目、オークパークでは見つからないかなぁ・・・と、諦めモードで車を走らせていると、レンガ造りの古いアパートが目に入った。
大通り沿いのアパートは候補外だけれど、なぜか気になって仕方がない。
側道に車を停めて、アパートの周りを歩いてみた。
見かけない顔だったからか、アパートの中庭で、花の手入れをしていた黒人のおじさんが、私に気付いて話しかけてきた。
チャールズと名乗る彼は、このアパートのメインテナンスを任されていた。
聞いてみると、3階と最上階の4階が空いているというので、4階の部屋を見せてもらうことにした。
エントランスのドアを開けると、何度も磨かれて、黒光りした木の階段が目に入った。
階段の中央にはえんじ色の絨毯が敷かれている。
どうやらかなり古い建物のようだ。
階段を登って行くと、各踊り場にはステンドグラスがはめ込まれた、大きな窓があり、調度いい具合に明るさが調整されている。
チャールズに促されて部屋に入った瞬間、その明るさと、開放感に思わず魅了された。
玄関の扉を開けた正面は、ウォーキングクローゼット。
寝室としても使えそうな広さだ。
そして右手を見ると・・・
そこには、10畳ほどのメインルームがあり、壁一面の出窓からはダウンタウンが一望できた!!!
ここに住みたい~~~!!!
メインルームの反対側は、クローゼットを挟んで、バスルーム、そして各6畳くらいのダイニングとキッチンが続いていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1669444536014-y55ZytlatS.png?width=1200)
どの部屋にも、大きな窓がついていて、風通しが良く、明るい!
しかも、破格の5百ドル!!!
ここに住まずにどこに住む~~~~~!!!
ということで、5月から入居することが決定!!!
契約をすまし、窓から見えるシアーズタワーに見とれていて、気が付いた。
アパートのあるオークパーク市は、ダウンタウンの西側にある。
そして、東西に走るブルーラインは、私の左手にある。
・・・ということは???
どうやら私は、ブルーラインの南側で暮らすことになったらしい・・・。
最後まで読んでくださってありがとうございます!頂いたサポートは、社会に還元する形で使わせていただきたいと思いまーす!