2023年9月国立新美術館『テート美術館展 光』感想

「本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する企画です。
「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや風景画の名手ジョン・コンスタブルといった英国近代美術史を彩る重要な画家たちの創作、クロード・モネをはじめとする印象派の画家たちによる光の描写の追求、モホイ=ナジ・ラースローの映像作品やバウハウスの写真家たちによる光を使った実験の成果、さらにブリジット・ライリー、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン等の現代アーティストによってもたらされる視覚体験にまで目を向けます。
本展では、異なる時代、異なる地域で制作された約120点の作品を一堂に集め、各テーマの中で展示作品が相互に呼応するようなこれまでにない会場構成を行います。絵画、写真、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像等の多様な作品を通じ、様々なアーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されたのかを検証します。」(国立新美術館HPより転載)

普段はこのような、どこかの美術館の所蔵作品展や誰それコレクションといったものは興味がなく、観に行くことがないのですが、しばらく美術館に行っていないと思い、ふと思い立って観に行きました。
実際は「光」がテーマとなって所蔵作品を読み解いていくといった感じの展覧会でした。自分自身にとっては意外にも興味深くみることができました。
以下に印象に残った作品を挙げます。

・ジョン・ヤング=ハンター「私の妻の庭」
印象派が出てくる前の絵なのですが、タイトルにある庭の芝生の緑の色が印象的でした。これも光の当たった芝を再現しているということだと思います。引き込まれるような鮮やか緑が頭の中に残っています。

・ヴィルヘルム・ハマスホイ「室内」「室内、床に映る陽光」
ハマスホイの絵は、一度見てみたいと思っていたのですが、やはり見れてよかったなと思いました。
以前別の美術館でハマスホイ展をやっていたのですが、タイミングが合わずにみることができませんでした。
みていると落ち着くのですが、それでいて印象にも残るような静かなインパクトがあるように思いました。色の使い方や絵の質感のようなものがとても好きです。またこれも光の捉え方というか、その画面の暗さがうまくとらえられて再現されているのだろうなと思いました。

・モホイ=ナジ・ラースロー「光の戯れ、黒、白、灰色」
これは映像作品でした。1930年の映像とのことですが、それにしては非常に画質がよかったです。まだ何かを映像にするということがそこまで一般的じゃなかったのではないかと思うのですが、前衛的でした。メタリックな質感が終始写されている映像でした。白黒映像ですが、銀色の質感があらわています。5分くらいのサイレントですが、不思議に見入ってしまいました。

・リリアン・レイン「液体の反射」
丸い透明の大きな平たい台が回転していてその上に、液体の入った大きさの違う球が2つ真ん中らへんでくるくるまわって、それがライトで照らされている、といったインスタレーション?のような作品でした。
シンプルですが、この作品を他の知らない人とみているというその空間が何とも言えませんでした。

・マーク・ロスコ「黒の上の薄い赤」「無題」
ロスコの絵もやはり長年みてみたいと思っていたので、まずみれてよかったと思いました。ただ期待しすぎていたのか、最初みたときはそれほどでもないというか、肩透かし感がありました。
一度美術展を見終わってから再度、みてみたのですが、その時は印象が違うというか、最初よりもいいなと思いました。
絵としては画面が2色とかに分けられて塗りつぶされているだけのシンプルなもので、どこがいいとかはわからないのですが、みていて落ち着くというのはあります。

・ゲルハルト・リヒター「アブストラクト・ペインティング(726)」
作家の名前はしっていたのですが、特に期待とかしてみたわけではないにもかかわらず、とりわけ素晴らしいなと思いました。
ゲルハルト・リヒターの絵はこの美術展では1つしかなかったので、この作品が好きなのか、それともこの作家が好きなのかはわかりません。
抽象的な絵画で、具象物はかかれていないのですが、流れるような画面がなんとも言えず美しいと感じました。
都市的というのが頭に浮かびました。

リズ・ローズ「光の音楽」
これも映像と音楽の作品でした。長方形の部屋の正面にそれぞれ2つの似た白黒の映像が投影され、それと連動?して音楽が流れていました。30分弱あるので全部は見ていません。それでも10分くらいは見ていたかなと思います。音楽といっても旋律があるわけではなくて、抽象的な音・ノイズでした。ある映像の部分では、かなり激しい光の点滅のようになっているので、ピカチュウショックのようになってしまうかとも思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?