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平井和正愛好部

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荒野の言霊使い、SF作家 平井和正の作品群をぶっ濃く読み解いて行きます。
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狼のバラード 『狼よ、故郷を見よ』その2

狼のバラード 『狼よ、故郷を見よ』その2

アニキのルーツをもう少し紐解くと、父親である山本信明氏の素性が明らかになりました。”明” の名は父親由来だったんですね。

東京帝大の若き生物学者で、実家は華族の縁戚もある名家。…ということは、少年犬神明の父方も「山本」姓で、都内に大邸宅を有するお金持ちでしたから、これはほぼ間違いなく親戚なんでしょう。

そして、幻魔世界で東丈の(肉体上の)父親となるのが、山本千之介。
山本家❗️ ルーツ繋がって

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狼のバラード 『狼よ、故郷を見よ』その1

狼のバラード 『狼よ、故郷を見よ』その1

『狼よ、故郷を見よ』

アダルトウルフガイ の…というより、第二期 平井和正の最高到達点だと思います。スピリチュアリズムとエンターテイメントが違和感なく融合した抜群の面白さ。名作です!

再び追われる身となった犬神明が目指すのは、人界から孤絶した山地に存在する犬神の里。しかし、里に近づく明を迎えたのは、大口径ライフルによる銃撃だった。

明らかにされる、犬神明のルーツ。

大峰山脈の奥地にて、ひっ

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狼のバラード  『地底の狼男』

狼のバラード 『地底の狼男』

「狼のバラード」

ノンノベル版ウルフガイ2巻。

ノンノベルで読み進めるの初めてなんですが、やっぱり『狼よ、故郷を見よ』のタイトルの方が良い感じに思えますね。

収録作品の違い、ちゃんとWikiにまとめてくれてました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/アダルト・ウルフガイ

『地底の狼男』

『狼狩り』篇で八王子に生き埋めになった犬神明のアニキが、また地下で活躍する

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『狼男だよ』 その3

『狼男だよ』 その3

『狼狩り』

この章でまず触れねばなりますまいのが、明アニキのモテっぷり…。まさか兄貴が大藪ヒーローばりのセックス尋問テクニックを駆使してたなんて❗️

三人もの絶世の美女といい関係になり(なりかけ)、それぞれと熱い(心 or 身体の…もしくは両方の)交流を結んで見せるアニキ…。
もうこういった点だけでも、10回は精読する価値がありますね。師匠と呼ばせてもらお🙇‍♂️

知り合いの芸能ライター本

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『狼男だよ』その2

『狼男だよ』その2

『狼は死なず』

アダルト・ウルフ🐺二作目。

世界を覆う本格的な諜報戦に巻き込まれる犬神明。強大なパワーを持つ人類の暗部との死闘の開幕です。

謎の人物からコンタクトを受け、出向いた場所でケイと名乗る美少女から見せられたのが、ポリ製ケースに入れられた、「十一文の靴」ほどもあるゴ○ブリだった…。

唯一の弱点であるゴ○ブリの化物を目にした明アニキの狼狽ぶりが面白い

神奈川県内の米軍基地において

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『狼男だよ』その1

『狼男だよ』その1



アダルト・ウルフガイ・シリーズの記念すべき第一作!

それまでも佳作を産み出し続けてきた平井和正の作家性が、ここで一気に花開いた感があります。

『8マン』の原作者としてブレイクし、優れたサイボーグもの、サイキックものを描いてきた平井和正が、肉体を喪った8マンの憧憬的かつ対極的存在であるウルフガイ犬神明を産み出すことで、人気作家としての地位を確固たるものにしました。

元々は、アンニュイな吸血

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『平井和正愛好部』 始まります

『平井和正愛好部』 始まります

中学生あたりまでは乱読派で、もしかしたらあの頃が人生で一番読書量があったかも知れない。一番好きなジャンルがミステリーで、図書館のミステリーコーナー、端から端まで読破してそれでも満足してなかった。

それが、ある時期を境に、めっきり本が読めなくなって、その要因ははっきりしてます。

平井和正との出逢いです。

平井作品から感じる熱量は、他の小説から感じるものと次元が違ってました。火口から噴出するマグ

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