XCOPY
XCOPYとは?
XCOPYは、数々の高額落札記録をもつNFTOG(NFTアートの第一人者)の代表格だ
ロンドンを拠点とすること以外の素性を隠している匿名アーティスト
2018年にSuperRare(NFTアートのマーケットプレイス)に招待される以前から、Tumblrで10年近くほぼ毎日アートを投稿しており、NFTが流行する以前からカルト的な支持を集めていた
作風は、死と無関心、ディストピアという暗いテーマと、グリッチの点滅をループするGIF
XCOPYの重要な点は、社会規範やヒエラルキーといった、あらゆる社会的関係が控えられている、かつてのインターネットに抱いた夢を見続けていることだと思う
かつてのインターネットのもつアンダーグラウンドな雰囲気は、現実社会は不自由だと感じている人々にとっての理想郷だった
匿名故に社会的なステータスや年齢、性別、国籍は関係がない民主的な空間
そこでは、伝統や規範に捉われず、自由な創造性を発揮できる
世間一般的にマイナーとされているカルチャーでも、人の目を気にせず、世界中に潜んでる同士達と共有できる(だからサブカルチャーはインターネットで発展してきた)
しかし、現在のインターネットはXやInstagramのように、インフルエンサーや企業が存在し、ステルスマーケティングやブランディングが横行している
かつての理想郷とは程遠い、金や人気を持つ人が偉い、資本主義社会の様相を成している
死やディストピアを連想させるモチーフと、ピクセル化やグリッチによる破綻したデータの印象は、現実と変わらない、むしろ現実以上に息苦しい空間にすらなりうる、現在のインターネットに対する反抗心ではないのか
テーマにある無関心とは、息苦しい社会への無関心のことではないだろうか
金や人気のためではなく、もっと純粋に創造できる理想郷への志向に思える
もう一つのテーマであるディストピアとは、うわべだけクリーンで実際は息苦しい現実の資本主義社会ではなく、ディストピアを連想させるアンダーグラウンドこそが、我々の理想郷なんだという解釈ができる
ディストピアこそユートピアという非社会的な性格が伺える
非社会的な人々が、唯一輝けるアンダーグラウンドがインターネットの可能性。その可能性を奪うなと言いたいのかもしれない
そうした理由から、Tumblrを愛好していたと思える
Tumblrの魅力とは、匿名性が高く、企業やインフルエンサーが不在だということ。そのアンダーグラウンドな雰囲気は、かつてのインターネットが見せた理想郷だ
実は、一時期に忘れ去られてしまったTumbrはひそかに再注目されているらしい。SNS疲れの反動だろう
NFTの流行は新たなネットカルチャーが定義される契機になりうる
XCOPYがNFTOGという象徴として選ばれたのは、インターネットの可能性、アンダーグラウンドな理想郷のビジョンの持ち主だからではないだろうか
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