ありきたりなものが欲しい

つい最近ね、初対面で「友達になってください」って言ってきた女の子とランチしてきたんですよ。
何かよからぬ目論みがあるのかしらって警戒しつつも、まぁ面白そうだからいいかーと思ってあれこれ考えるのが面倒くさくなり、約束を取り付けてきたわけです。

思考放棄して流されるまま行動しちゃうところ、たぶん私のだめなところだなぁって思ってはいるんですが…。
よく言えば行動力があると言われますけど、悪く言えば捨て身だし自暴自棄ですよね。
まぁそうなんですけど。
普段と違うことが起こると、人生的に何か面白い展開になるんじゃないかと期待しちゃうわけです。

まぁそんなことはどうでもよくて、会ってみると悪意はない人でした。
よかったー。

で、その彼女がいわゆるキラキラ女子ってやつだったんですよ。
元CAで世界各国を見て回っていて、インスタには映えに映えた写真がもりもり載っていて今後やりたいことなんかを発信していたり、小型船を貸し切って仲間と遊ぶとか、1人でどこにでも行けちゃうとか、今は自営業をしていて稼いでいるとか。
意識が高くて鼻につくとかそんなんじゃなくて、純粋に好奇心が強いというかパワーのかたまりみたいな人でした。
世界の写真をたくさん見せてもらいました。

私はインスタもやってないし(載せる写真がないから)外国に行ったこともないので、かなり別世界の話を聞いてるような感じで圧倒されつつ、すごいなぁ～なんて思ったりしていたんですが、不思議と羨ましくは無かったんですよね。

意外だったんです、わたし。
もっと羨ましくなると思ってた。
私もやってみたいと思うと、思ってた。
キラキラが欲しいタイプの人間だと思ってたんですね。

今の仕事も、「病気を持っててかわいそうでみじめな私」が嫌で、周りにもそう思われたくなくて、キラキラっぽい仕事を選んだんです。
最近向いてないのかもなぁなんて悩んだりもしてるわけなんですけど。

かわいそうだと思われたくない。
色々あるけど、私はあなたたちより華やかに暮らしてるのよってポーズが取りたかったんです。
自意識過剰とは思いつつも自分の名誉のために。
昔の私を知ってる人から見た印象として、このもくろみはおおむねは成功していると思います。

でも、本物のキラキラな人を見ても全然羨ましくなかった。
もちろん世界旅行には出れるものなら出てみたいし、船上でパーティーだってしてみたくもあるけれど、私が欲しいものはそれじゃないなぁって思ったんです。

もっと普通で、ありふれてて、みんなが持っているものが欲しい。
みんなって誰だって話ですけど。

日常のちょっとしたことを報告しあえるような友達とか、理解してくれる恋人とか、心安らぐ自宅以外の居場所とか。
なんかそういうのがいっぱい欲しい。

街ゆく人がみんな幸せそうに見える。
みんな何かしらをたくさん持っているように見えるんですよ。

隣の芝は青く見えるだけなのかもしれないけど、青くて眩しくて目がくらみそうです。
わたしも誰かから見れば、何か持っているように見えていたりするのかしら。
羨ましがられるような何かを持っていたりするのかしら。

まぁつまり、最近の私は寂しくてしょうがないんです。
わたし、寂しがり屋なので。

平凡で普通で、ありきたりなものが欲しい。
でも、ありきたりで平凡で普通の幸せって、まぎれもなく特別ですよね。

普通なことは特別なことの集まりだ。

キラキラも、そうじゃなく見えることも、結局は特別なことなんだと思います。
だから普通って難しい。

ありきたりなものが欲しい。