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【FC東京】2023年シーズン・プレビュー(4) DMF編

今回は守備的なMF(今の戦い方では必ずしも守備的とは限らないが)、アンカーとインサイド・ハーフについて見てみる。

アンカーは東が第一選択

今季も昨季同様4-1-2-3を基本的な布陣とすることを前提に考えると、やはり要になるのはアンカーだ。昨季は青木をアンカーに置いてシーズンをスタートしたが、青木のケガもあって夏ごろからは東がポジションを確保した。この起用が当たって東は新境地を開いたし、陣容に厚みが出たのは間違いない。

青木は33歳、東は32歳とともにベテランの域に達しつつあり、また攻守に負担の重いポジションであることを考えても、どちらかがトップ・フィットでフルにシーズンを戦い抜く想定はリスクが高い。東を主力として起用しつつ、コンディションや日程をにらんで青木を併用するのか、あるいは青木がこのポジションの先輩としてレギュラーを奪い返すのか、レベルの高い競争となるだろう。

アンカーはアルベル監督のフットボールにおいては単にボールを刈るだけの存在ではなく、攻守においてボールの経由地点となり、最終ラインに落ちたり時には自らも攻め上がったりしながら全体のバランサーとなる重要な役割である。その点、東はもともとトップ下などの攻撃的なポジションを得意にしていることもあって、攻撃のスイッチを入れるクリティカルな縦パスをつけることができる。

総合点では青木の方がバランスがよい気はするが、「チームを預ける」意味では今の東の方がややアドバンテージがあるのではないかと思う。いずれにしてもこの二人を併用できることはチームとしては大きなポイントである。

気になるのは彼らに続く中堅、若手のアンカー候補がはっきりしないところで、特に鳥栖から加入した小泉をどこで使うかだ。対人やボール奪取に強みを持つ一方、器用な印象はなく、適性としてはアンカーではないかと思うが、各種予想やキャンプ情報ではインサイド・ハーフでの起用が見こまれているようでもある。

あとは順天堂大から加入した寺山あたりか。寺山は天皇杯で2021年の天皇杯で順天堂大とやったとき(延長で負けた)にいい選手だと思った記憶がある。アンカーに固定する必要はないと思うが、即戦力としてメンバー争いに加わる力は十分あるだろう。

インサイド・ハーフは松木と塚川か

昨季のインサイド・ハーフは、高卒新人ながらスタメン・デビューし結局シーズンを通じてレギュラーの座を守り通した松木と、機動力を生かして動き回った安部のセットに、シーズン途中に川崎から加わった塚川が割って入り、シーズン終盤は3人を使い分けた。今季もこの3人を軸に、新加入の小泉がここにからむかたちになるのか。

松木は身体とメンタルの強さを兼ね備え、常に前を向いてしかけてボールも簡単に失わない。球際で厳しく戦える稀有な選手で高卒ルーキーながらポジションを確保したのも納得できる。ただしもともと海外希望があり、クラブともおそらくはいいオファーがあったときに放出する約束になっている可能性が高い。せっかくいい番号をもらったのだから今季は最後までいてほしいが、最悪夏に移籍するシナリオも想定しておかなければならないだろう。

安部は最後の最後に精度を欠く部分はあるものの、プレスもアリバイでなく本気で奪いに行く強さがあり東京のこれからを背負うべき選手。松木とともにひとけたの背番号をもらい、クラブからの期待も高いことが窺われる。戦術理解も高くポジションを確保してほしい。

塚川は常に前にボールを運ぶことを考えており、他の選手なら下げてしまう状況でも、隠されたスペースにパスを出すことができる。足元の確かさはもとより、競り合いでも強さを発揮する。アルベル監督の構想の中ではキーマンのひとりだと思うが今季はどうか。

さらに小泉がここに加わると、質の高いセットがふたつできることになる。東京のインサイド・ハーフはときとしてウィングよりも高い位置でボールをさばいたりフィニッシュも期待されるポジションであり、アンカーのところで書いたとおり小泉の特長と合うのか、見てみたい。

中盤は他にも大卒ルーキーの寺山や西堂、その他にもレアンドロ、渡邊らもいて、このポジションかウィングで起用される可能性もある。コンバートや若手の起用も含めてアルベル監督の采配に期待したい。

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