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PURIFYING AT MIDNIGHT / 佐野元春プレイリスト(3)

今回はバラッド・コンピレーション。

サンチャイルドは僕の友達

アルバム「SOMEDAY」から。このコンピレーションは朝から一日を経て夜を迎え、翌朝の明け方までという流れを意識して組んでいる。アルバムでは最後に置かれた曲を冒頭の夜明けのイメージにもってくるのは気に入っているアイデア。

モリスンは朝、空港で

シングル『グッドバイからはじめよう』のフリップ・サイドであるが、CDから音源を取ろうとすると結構難しい。コンピレーション・アルバム「No Damage」収録のバージョンはエンディングが加工され次の曲とつながっているために使いにくい。コンピレーション・アルバム「GRASS」にも収録されているが、こちらはシークレット・トラックとひとつながりのファイルになっており使えない。ボックス・セット「SOUND & VISION」収録のバージョンが唯一プレイリストに使える。

双子のコマドリとゴールデンフィッシュ

ブルー名義で発表したチャーミングな小品。『The Essential Café Bohemia』に収録されている。ちょっとラップぽく、幻想的な歌詞もいい。ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」へのオマージュでもある。

週末の恋人たち

「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」収録。「求人広告片手に」とか「カタログを部屋に広げて」とか歌詞がいちいちイカしてる。初期の佐野のある種の特徴がよく出ている曲。

恋する男

「TIME OUT!」収録。臆面もなく何度も「I love you」と繰り返すラブ・ソングは意外と珍しい。このアルバムのリラックスしたアナログなたたずまいにマッチした佳曲。

二人のバースデイ

アルバム「SOMEDAY」収録。佐野のバースデイ・ソングはおそらくこれ一曲。ハネたリズムのアーバン・ソウル。ファンの多い曲だ。

こんな素敵な日には

シングル『彼女はデリケート』のフリップ・サイド。コンピレーション・アルバム「No Damage」に収録されている。これも同世代のアーティストからは出てこないタイプの曲。

バルセロナの夜

アルバム「Heart Beat」収録。大村雅朗がビリー・ジョエルの『素顔のままで』をリファーしたアレンジにしてしまったが、それが意外にいい感じなのは皮肉。のちにコンピレーション・アルバム「SLOW SONGS」に、ビリー・ジョエルみを薄めるべくリミックスして収められたが正直オリジナルの方がいい。

水の中のグラジオラス

シングル『シティチャイルド』のカップリング。アルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」のロンドンでのレコーディングに先だって東京で行われたハートランドとのセッションからの曲。アウトロにポエトリー・リーディングが挿入されているのが印象的。

麗しのドンナ・アンナ

アルバム「SOMEDAY」収録。ライチャス・ブラザーズを意識したというアレンジはクールなブルー・アイド・ソウルであり、このアルバムがソウル・アルバムである例証のひとつ。1982年に27歳でこのアレンジをした佐野の特異な才能。

虹を追いかけて

オリジナル・バージョンは「Café Bohemia」に収録されているが、ここでは「The Essential Café Bohemia」に収められたホーボー・キング・バンドとの新録バージョンを。アル・グリーンを意識したソウルフルなアレンジに仕上がっておりオリジナルよりもいい。

新世界の夜

アルバム「BLOOD MOON」収録。フィラデルフィア・ソウルを思わせる流麗なストリングスに乗せてシニカルな世界観が歌われる。英文タイトルが『Perfect World』だというのもカッコいい。

君を待っている

「TIME OUT!」収録。デビュー前からのレパートリー。佐野のピアノ弾き語りであるが、ツアーで披露されていたバンド演奏のバージョンを聴いてみたい。ピアノ椅子のきしみが入っているがミキサーの吉野金次は敢えてそれを残したという。

レイナ

「THE SUN」収録。「子供たちは寝かしつけておいたよ」という歌詞からこの男女の複雑な関係が想像される大人のラブソング。「あたたかいお茶でもどう」と語りかけるまなざしは20代のときにはなかったもの。

真夜中に清めて

アルバム「SOMEDAY」収録。これもソウルフルなナンバーで、1982年当時日本のロック・シーンでこんな曲を書くアーティストは他にいなかった。というか今でもいない。リフレインの「ミッドナイト・トリッパー」はビートルズへのオマージュか。

Interlude

アルバム「Heart Beat」から。カセットテープでコンピレーションを編集していたころ、次の『Heart Beat』とこの曲とを切り離すことが技術的にできず、しかたなくそのままひと続きで採用したが、結果としては悪くなかったと思う。

Heart Beat

ある意味、この曲のためにこのコンピレーションがあるといってもいい。アルバム「Heart Beat」収録。

Dovanna

ポエトリー・リーディング作品。オリジナルはカセットブック「ELECTRIC GARDEN」に収録。このコンピレーションには2000年にリリースされたポエトリー・リーディングのコンピレーション「Spoken Words」から。もちろん暗誦できる。

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