自分軸で生きるということ
『自分の人生を自分の意志で選択して生きてもらいたい』。というのを前回の投稿の締めに書いたが、今回はそのための『自分軸』と、ワーク・キャリアにおける『キャリア・アンカー』について話をしていきたい。
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▶自分軸とは?
自分軸とは、他人の意見や周囲の評価に左右されず、自分の考え(価値基準)に基づいて行動することを指す。この自分軸がしっかりしていると、人生の選択を行う際に「自分はこうしたい(こう思う)」という一定の価値観に基づいて判断を行うため、素早い選択、自信をもった選択・行動につなげることができると思う。
▷他人軸
自分軸の対角にあるものが、他人軸と呼ばれるものになる。選択・行動の際に自分の意志ではなく、周りはどう考えているのか、この判断は周囲にどう評価されるのかなどを基に判断することを指す。選択・行動に常に他人の目を気にしながら行うことになるため、本当の自分をないがしろにし、本当にしたいことをあきらめてしまったり、自分の意志で選択を行う場合よりも不要なストレスを抱える可能性もある。
▷『自分軸を持つこと』と『わがまま』であることの違い
上記の書きぶりを見ると『自分軸を持つ≒自分本位≒わがまま』と捉えてしまう可能性があるが、このふたつは同一ではない。
わがまま(我儘)とは読んで字のごとく、自分の思うがままに行動することである。そこに他人の都合や思いを慮ったりするようなことはなく、自分のやりたいことを押し付け、半ば強引に物事を進めていくような行動を指す。
一方、自分軸を持つということは、あくまでも判断の基準となる価値観を自分の中に持っておくことであり、その判断は周囲の環境、条件などを踏まえてのものとなる。自分軸を持つということは、自分を知り、自分以外の他人の自分軸をも認め、受け入れることにもつながる。
共同で仕事や生活を行う際に、この自分軸に意識を向けることが重要となる。上司や同僚、部下のいずれも自分とは違った人間であり、その立場や価値基準、考え方にも違いが出てくる。仕事を進める以上『商品の質をあげる』『契約数を増やす』など共通のゴールを設定することが重要だが、その中の個人の思いにも意識を向けることで、より一層チームとしての強度があがるのではないかと思う。
もちろん、家族生活にも共通する部分がある。配偶者や、血のつながった実の子、父母であっても、同じものを見て同じ思いを抱くとは限らないし、これまでの生き方や時代背景が異なれば当然にそれぞれが大事にするものも変わってくる。そこを大事にすることでより一層充実した家族関係を構築することにもつながるのではないかと思う。
▶『キャリア・アンカー』という考え方
自分軸の考え方は仕事にとどまらない『ライフ・キャリア』を考えるうえで重要なものであるが、『ワーク・キャリア』に軸を置いた時に、この考えに近いものとして『キャリア・アンカー』という考えがある。
この考えは組織心理学者のシャインが提唱したものであり、仕事を行っていくうえでの個人の拠り所をアンカー(錨)とし、自分のアンカーを理解することでキャリア選択を明確にし発達を促していく。というものである。
シャインは、キャリア・アンカーの具体的な要素として、①自覚された才能と能力(自分がどのようなことができるか)②自覚された動機と欲求(自分がどのように考え、何を求めているのか)③自覚された価値と態度(自分が何を大事にし、どうしたいのか)という3つをあげた。
▷キャリア・アンカーの変化、発展
このキャリア・アンカーは特定の職業と1対1で結びつくものではなく、どのような仕事にもマッチする部分があるものと考えられる。このキャリア・アンカーは実際の職務経験により変化、発展していくものであり、逆をいうとこういった経験を積む前に、自身のアンカーを予測することには注しなければならない。
▶若年層における自分軸とキャリア・アンカー
現代日本においては、『職務経験を積む』にはある程度社会に出てからとなる。実際に仕事を行う中で育まれていくキャリア・アンカーを社会に出ていく前に(のちに変化があるとしても、)明確に認識することは難しいと思われる。しかし、大事なことはワーク・キャリアにおけるキャリア・アンカーのさらに前提ともいえる『自分軸』の存在だと思う。
『自分はこういったことに価値を感じる(大事にしたい)』という自分軸を軸足に進学先や職業を選択し、職務経験を積む中で変化する自分軸を中心にアンカーを変化・発展していくことが必要となると考えられる。
経験を積む中で現在の仕事に対して違和感を感じるのなら、その違和感の探求、離職や転職、学びなおし等の選択を行うことも重要になるだろう。
自分のように病気になり、『これからどう生きていけばいいのかな?』と悩まれたり、そういう状況でなくとも『なんとなく、ぼんやり』と自身の将来に不安を感じているような方がいらっしゃれば、ぜひ話を聞かせてもらいたい。具体的な不安の種が自分でもよくわからない、という方もいるとは思うが、ご心配なく。そういうときでも壁打ち役にでも使ってもらえればありがたい。
何となく周りの人には相談しづらい、話せる人がいない。なんて時にもご気軽にご相談いただければと思います。