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本のはなし「悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン著 河野 万里子訳

『悲しみよこんにちは』フランソワーズ・サガン著
 
★★★★★(5/5)
好きすぎて勝手にイメージを膨らませて絵を描いた。(エルザと父とアンヌ)
 
※ネタバレ注意
 
サガンが19歳の夏に、処女小説として書き上げた作品。
コート・ダジュールの別荘で過ごしたセシルの17才の夏の物語。
 
NHKラジオ「朗読の世界」で本作品を聴いて、朗読の世界観と作品に痺れたので、早く続きが知りたい!と本を手に取った。
朗読が素敵だったので、朗読が終わるまで本を最後まで読むのを我慢!じれったさもあったけれど「もしもこうだったら」とたくさん想像できた…!本なら一気にバーッて読んでしまうから、想像の余地を偶然だけど作れたのは良かった~。
 
新潮文庫のあらすじに「20世紀仏文学が生んだ少女小説の聖典」とあったのだけど、にわかながら本当にその通りだと思った!少女小説の聖典!
 
セシルの内面や登場人物の描写が素晴らしく、それぞれの気持ちが手に取るように想像できた。
また、セシル、父、アンヌ…それぞれの本質が交差する様子が面白かった。
セシルはアンヌに自分と父の軽薄さを受け容れてほしかった。二人が思うくらい軽やかに。
 
 
解説も楽しく読んだ。
作品が翻訳されて、サガンは日本でも人気の作家となった。
しかし、「サガン、読んでいます!」と明言されることはあまりなかったらしい。それでも本棚には必ずと言っていいほどサガンの本があった。サガンの本は少女漫画的な立ち位置だったが、男子学生もこっそり読んでいたという。
 
フランスの優雅で退屈がつきものなバカンス。その場限りのパーティー。
作品全体を覆うアンニュイ感がなんとも贅沢だった。
うまく伝えようとかできなけれど、朗読が終わってからもう一周読んだ。それくらい素敵。
 

 
 
 
 

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