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2024.06.06 高校生向け経済学講座

音楽と一緒に聞こえてきた人の声。
木曜日。
そうか、今日は事務所横で開かれる、ウクライナ避難民のための英語クラスの日か。
低めの男の声、笑っている女の子の声。いつもより、人が多いんだなと思った。

先週も先々週も顔をだしたし、今日は帰ろうかなと思った。
だが、複数人いるようだし、これも仕事かと考え直して足を部屋に向けた。

Ahoj!と挨拶したと同時に見えたのは、1人の男の子と5人の女の子。あとは、スタッフの女性が1人。みんなで円になり、人生ゲームのようなボードゲームを広げていた。

近寄って何しているの聞くと、男の子が説明をしてくれた。
ウクライナ版モノポリーのようなゲームで、家や株、保険などを考慮しながら収益を上げていくものだった。

しばらく様子を見るかと、椅子に腰をかけたら「参加する?」と声をかけられた。
以前のKezmaroko出張の際、言語が通じずとも、インタビューができずとも、輪に入って自分が楽しむのも大事と学んだ。本音では早く家に帰りたい。だが、「YES」以外の選択肢は与えられていなかった。

収入・子ども手当・利子・ローン・投資・年金。
今日は英語教室ではなく、高校生向けの経済学講座に変更だったようだ。
日本語でさえ難しい内容。専門用語も多く、通訳役の男の子も何度も調べてくれた。

お菓子をつまみ、ウクライナ語の音楽を聴く。
みんなが笑った時に、一緒に笑ってみる。
自分の番が来たらサイコロを回して歩を進める。
言われるがままに、家を買い、投資用の外貨を買い...

17時から参加していた。
通常の活動は1時間で終わるが、18時になっても終わらない。

19時ぐらいには終わるかな、高校生たちだし...。

19時になっても終わる気配がしない。
ここまで来たら、とことん最後まで付き合うか...。

20時前。
さすがに、そろそろ帰りたい。もう何言っているか分からず、愛想笑いを浮かべているのにも疲れた。その時、一本の電話が鳴った。
電話自体は15分ほどで終わったが、ここがチャンスと思い抜けてしまった。

できるだけ活動に参加し、中の様子が見れるのが駐在の特権であり、一番重要な仕事といっても過言ではない。
しかし、裨益者の中にいても、どうしても中に入りきれず楽しみきれない自分がいる。

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