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【一次創作】 対読み飛ばし用ネーミング
一次創作小説「魔宵子たちの北極星」の第一部を公開し終えました。
※https://ncode.syosetu.com/n8900in/※
告知だけで終わるのは虚無いのでいつものようにコラムです。
【名前やシンボルは大事】
私はアマチュアですが、テキストだけで表現するうえにおいて「読み飛ばしされてもざっくり話はわかるようにしなければいけない」と、自分が読者視点に立った時に出した結論です。
読み飛ばしで「ん?」とさせて、ちゃんと読み返させる文章力があることが理想なのですが、残念ながら私にそれほどの力は無い。
故にこのようにnoteでは見出しや太字を駆使して「パッと見で大まかな情報取得を閲覧者に提示する」という外道技巧を使っています。
【カタカナ名は覚えにくい対策】
しかしそのような小細工が封じられた、それも久々にファンタジー小説を書くうえにおいて私がそれでも使った小細工が名前です。
カタカナ名は、とかく覚えにくい。すぐに誰が誰だかわからなくなる。
これは私的意見であってそうでない人もいると思いますが、私は私の読者的意見をとりあえず重視します。
ファンタジー小説の厄介なところは、キャラ名も地名も下手すりゃ小道具関連まで全部カタカナになったりするところ。
こんなもん覚えきれっか!流し読みしていたら情報頭に入ってこんわ!!
【地名対策】
なので、私は今回色々対策を施しました。
まず国名、地名はあえて漢字を混ぜること。
前作「迷宮遺失物回収業者 ハゲタカ」の時点で出した地名ですが「連邦王国」「帝国」「ツェズリ島」「ツェズリ都」などで、「ああ王国なんだな」「王国と違う帝国があるんだな」「島と都の名前が同じってことは島の都心なのね」と理解していただけるように工夫しました。工夫したつもりです。
【】《》「」『』などの括弧で括るのも結構有効です。打つの面倒だけどな!
現実で言えば【イギリス首都ロンドン】と書くことで「ああ地名が混ざっている」と読者に情報提示させることができます。できるはずです。たぶん。
【キャラ名・シンボル編】
キャラクター名においては「字数と頭文字」「パッと見の濃薄」「シンボル」で工夫してみました。
「迷宮遺失物回収業者 ハゲタカ」では「ならず者の冒険者たちが本名を名乗る必要性は薄い」という理由であだ名を多様しました。
主人公の名前が既に「ハゲタカ」で、現実にいる動物なのでわかりやすいはず……という考えから、他のキャラ名も鳥の名前を結構使っています。一応裏設定として「冒険者は自由でありたい」から鳥の名前が多様されやすい意味があったりしますが。
※※※
「魔宵子たちの北極星」では主人公二人のうち「マリー」には「羊」、ソーニャには「魔女」というシンボルを与えています。
シンボルを与えておくと二つ名としても使え、呼び方の工夫もでき、テーマも隠しておけるので便利です。
【キャラ名・字数頭文字編】
少なくとも主人公四人は全員字数をほぼバラけさせておきました。
「ソーニャ」「マリー」「ヘルマート」「ドロテア」と四文字、三文字、五文字、四文字と分けています。
また、よく接触するキャラクターの字数もバラけさせています。
「魔宵子たちの北極星」では「クラリッサ・セッテフィウミ」という豪商令嬢が登場しますが、彼女は主に「ギィジャルガ(六文字)」「ヴォス(三文字)」「クラリッサ(五文字)」と行動しているため、こちらも字数をバラけさせています。
余談ですがクラリッサは現実で言うとイタリア出身イメージなので「クラリス/クラレンスなどのイタリア系」「セッテフィウミ=Sette(七)fiumi(川)」としています。七川さんです。
※※※
またできるだけメインとなる各キャラの頭文字もバラけさせています。
極論キャラの頭二文字が見えたら誰かわかるようにしたいというのが作者的狙いだったりします。
なおクラリッサの友人の名前をクリステラというめっちゃややこしい名前にしちゃったのは完全なミスでした……。クリステラは前作キャラなのでもう修正が効かない。
【キャラ名・濃薄編】
これは「字の詰まり具合」で視覚情報的な濃薄をコントロールしています。
漢字で例に出すと「護」と「五」で同じ「ご」という音でもぱっと見で字の詰まり具合が全然違うので見分けがつけやすくなっています。
これを意識すると「健護」と「剣五」では同じ「ケンゴ」というキャラ名でも完全に別人だとわかりやすいですし読みやすい名前です。
※※※
カタカナ名ばかり出てくるファンタジー小説は久々に書くので、これは濁音を濃担当とし、「-(長音符)」を薄担当としてキャラ名を決めたところがあります。
「マリー」は三文字でスッキリ。フルネームでも「マリー・リー・ユニカ」とやっぱりスッキリした名前を意識しています(ネーミングの元ネタはゼノギアスのビリー・リー・ブラック)。
「ソーニャ」は四文字のスッキリ担当です。「-(長音符)」と小文字を使ってスッキリさを強調させています。
「ドロテア」は同じ四文字ですが、頭文字濁音で濃担当とし、ソーニャと同場面にいても一目でわかりやすくしています。
「ヘルマート」は五文字のスッキリ寄りです。
他の男性キャラに濁音をたくさん使いたかったので、主人公はスッキリ担当になったという事情が大きかったです。
【キャラ名・尊称愛称俗称編】
本作は基本的に主人公四人の一人称でストーリー進行するので、地の文でも尊称愛称を使っても問題ない構成にしています。
そのため、ハゲタカ=ヘルマートは前作から「ドロテアさん」と一貫して尊称をつけさせています。これでドロテアの名前を呼ぶのが誰かわかるようにしています。
一方で前作から一緒に行動することが多いドロテアさんは「所長さん」→「あなた」で関係が雇用主と部下から、夫婦に変わったことを強調しました。
伴侶の呼び方は色々あるので、場合によって使い分けしています。
※※※
一方でソーニャは「ペット」「家族」「主人」「主人」「マリー」と自認とマリーへの呼びかけを状況によって使い分けさせています。
対照的にマリーは一貫してソーニャはソーニャであり、他キャラはソーニャを呼び捨てにしないようにしています。
「魔女」という二つ名が非常に便利。
【まとめて】
ようは視覚情報提示の工夫が一貫となっています。
京極夏彦先生の文章を読んで心底理解したのですが、テキストだからこそ視覚情報のコントロールは大事なのだと。
横文字と縦文字、書籍と電子媒体の違いがあるので丸々真似できませんが……というかあの文章真似できる気がしねーよ。
ちなみに、忍者と極道のおかげでルビ芸というのは本当に便利だなと創作側に回って理解しました。
もっとも、一つの単語に二つの意味を乗せられる無理のあるルビ芸は、便利であってもスマホでは字の大きさ的に読みにくいという弱点もあるっちゃあるのですが……。
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